韓国、北朝鮮とロシアの軍事協力に対抗しウクライナへの武器供与を検討

北朝鮮のウクライナ紛争介入の可能性が浮上

韓国大統領府の高官は22日、北朝鮮とロシアの軍事協力への対抗措置として、ウクライナへの直接的な武器供与を検討する可能性を示唆しました。これは、北朝鮮がロシアとの軍事協力を強化し、ウクライナ紛争に介入する可能性が高まっていることを受けたものです。

韓国の情報機関によると、北朝鮮は1500人規模の特殊部隊をロシア極東に派遣し、現地の軍事基地で訓練を行っているとされています。これらの部隊は、将来的にウクライナ戦線に投入される可能性が指摘されています。

韓国、段階的な対抗措置を準備

大統領府の高官は、北朝鮮の軍事協力のレベルに応じた段階的な対抗措置を準備していると述べています。具体的には、外交的措置、経済制裁、そして軍事的措置が含まれます。

状況が悪化した場合、韓国はウクライナに対して殺傷能力のある兵器を提供することも視野に入れているとのことです。高官は記者団に対し、「段階的なシナリオの一環として、防衛目的の武器供給を検討する。状況によっては攻撃用の兵器も検討する可能性がある」と語っています。

韓国、北朝鮮の「犯罪組織」的行為を非難

大統領府の国家安保室(NSC)は緊急会議を開催し、北朝鮮の軍事協力強化への対応を協議しました。NSCは声明で、北朝鮮が若者を「ロシアの傭兵」として戦わせるために派遣し、国民の生活や人権を無視するなど「犯罪組織」のような行為を働いていると強く非難しました。

また、「韓国は北朝鮮軍の即時撤退を求めた。現在のような北朝鮮とロシアの軍事的結託が続くなら、座視せず国際社会と共に厳しく対応する」と強調しました。

韓国、NATOとの連携強化へ

韓国はこれまで、ウクライナに対して地雷除去装置などの非殺傷兵器の支援にとどめてきました。しかし、今回の事態を受けて、西側諸国やウクライナから殺傷能力のある兵器の提供を求める声が強まっています。

一方、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は21日、尹錫悦大統領との電話会談で、情報共有強化に向けた代表団派遣を要請しました。これを受け、韓国は情報・防衛当局者のチームを「数日以内に」NATO本部に派遣する予定です。

2022年3月、ウクライナへの支持を表明するため、国旗の色にライトアップされたソウルの建物2022年3月、ウクライナへの支持を表明するため、国旗の色にライトアップされたソウルの建物

韓国は、北朝鮮とロシアの軍事協力の行方と、ウクライナへの更なる支援について、難しい判断を迫られています。今後の動向が注目されます。