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日本人の男子児童が男に刺されて亡くなる事件から1か月が過ぎた中国。各地の学校では警戒が続いています。現地の日本人からは、身を守るために「刃物を握れる手袋を買っている」などと、不安や怒りの声が上がっています。
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22日朝、中国・北京市内では雨の降る中、学校に通う地元の子どもたちの姿がありました。しかし、その周囲には…
長谷川裕記者(NNN北京)
「小学校の前に警備員が立っています。パトカーもとまっています」
北京市では今、小中学校や幼稚園で厳重警戒が取られています。
この措置のきっかけになったとみられるのが、約1か月前、深センで日本人の男子児童(10)が男に刃物で刺され死亡した事件です。
地元警察は44歳の男を拘束。日本側は動機など事実の解明を求めていますが、中国側からは詳しい説明は一切なく、日本人を狙った犯行かどうかも明らかにされていません。それでも、この事件は現地の日本人社会に暗い影を落としています。
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渡辺容代記者(NNN上海)
「元気な声が響いています。土曜日の午前中なんですが、上海にある少年野球チームが練習を行っています」
子どもたち
「がんばっていくぞー!」
日本人の小学生を中心に約30人が所属する上海の少年野球チーム。子どもたちは大きな声を出しながら、元気に練習をしていますが…
「トイレ行く人~!」
「はーい」
事件以降、グラウンドは施錠し、子どもや女性がトイレに行く際は、男性が付き添うなど対策を強化したといいます。子どもたちも、グラウンドの外では…
日本人小学生
「ぺちゃくちゃしゃべってると日本人だと思われる。だからなるべく日本語をタクシーではしゃべらないようにしている」
──なんで
日本人小学生
「なんで? 日本人を嫌ってる人もいるから」
チームに通わせる保護者も、複雑な心境を明かします。
保護者
「一応、鍵のかかるグラウンドですけど、行きもタクシーでここに来るので、それまでの間に(何かあったら)と考えて躊躇(ちゅうちょ)することはあります」
日常生活を送りながらも、ぬぐいきれない不安。
被害に遭った児童が通っていた深センの日本人学校では、先週、登校が再開されましたが、徒歩での通学は控えさせていて、通学を怖がる児童らのためオンライン授業も併用しているのが現状です。