【狛江強盗殺人】「ルフィ」事件の闇:19歳大学生実行犯の裁判で見えた犯行の全貌

2023年1月、東京・狛江市の閑静な住宅街を震撼させた強盗殺人事件。90歳のAさん宅に押し入った強盗団の凶行は、高齢者を狙った卑劣な犯行として、日本中に衝撃を与えました。

事件後、闇バイトで集められた実行犯たちが、フィリピンを拠点とする指示役「ルフィ」らからの指示を受けていたことが発覚。指示には秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」が使われ、組織的な犯行の実態が明らかになっていきました。

19歳大学生の「闇バイト」:指示役「ルフィ」との出会い

2023年8月、東京地裁立川支部で、この事件の実行犯の一人である中西一晟被告(当時19歳)の裁判員裁判が開かれました。中西被告は、いかにして「ルフィ」と繋がり、犯行に加担することになったのでしょうか?

裁判で明らかになったのは、ひとりの大学生の金銭トラブルがきっかけでした。

中西被告は、事件の1年前にあたる2022年8月から、オンラインゲームで知り合った加藤臣吾被告(当時25歳)とアパートで同居を始めます。しかし、加藤被告は家賃を一度も支払わず、中西被告の生活費を使い込むように。生活に困窮していた中西被告は、同年12月、加藤被告から紹介された「闇バイト」の指示役「シュガー」こと、渡辺優樹被告と連絡を取るようになります。

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テレグラムで繋がれた犯行グループ:組織的な犯行の実態

狛江の事件では、「指示役」「実行役」「自動車調達役」と役割が分担され、それぞれがテレグラムで連絡を取り合っていました。「指示役」は、「キム」こと藤田聖也被告、「ミツハシ」(改名前は「ルフィ」)こと今村磨人被告、そして「シュガー」こと渡辺優樹被告の3名です。

中西被告は、「実行役」として、永田陸人被告(当時21歳)、野村広之被告(当時52歳)らと共に、指示に従って犯行に及んでいきます。

明らかになる犯行の全容:検察と弁護側の主張

裁判では、検察側と弁護側がそれぞれ事件の概要を説明しました。検察側は、テレグラムでやり取りされたメッセージ記録などを証拠に、組織的な犯行であったことを主張。一方、弁護側は、中西被告が指示役に従わざるを得なかった状況や、犯行への関与の程度などを主張し、情状酌量を求めました。

後編へ続く:裁判の行方と「ルフィ」事件の闇

19歳という若さで凶悪犯罪に手を染めた中西被告。裁判では、事件の真相とともに、闇バイトの闇や若者を犯罪に巻き込む社会の課題も浮き彫りになりました。後編では、裁判の行方や「ルフィ」事件の全体像、そして事件が社会に投げかけたものについて詳しく解説していきます。