上皇さま、無症候性心筋虚血と診断:美智子さまの献身と深まる皇室の絆

今年5月10日、宮内庁は、東大病院にご入院されていた上皇さま(91)が「無症候性心筋虚血」と診断されたと発表しました。このご入院中、美智子さま(90)は3日連続でお見舞いに訪れ、連日4時間以上を病院で過ごされるなど、献身的なお姿を見せられました。今年1月に出版された歌集にも、お二人の長年にわたる深い絆がうかがえる一首が収められています。

歌に詠まれた51年前の想いと変わらぬ献身

「三(み)日(か)の旅終へて還らす君を待つ庭の夕すげ傾(かし)ぐを見つつ」――今から51年前、美智子さまが詠まれたこの歌は、ご夫妻にとって縁の深いユウスゲの花が夕暮れ時に傾くのを見ながら、夫の帰りを心待ちにする女性の心情を描いています。ユウスゲは、お二人が出会った場所に縁があり、ご夫妻がともに慈しんでこられた花です。

皇太子同妃両殿下時代の美智子さまと上皇さま、宮内庁提供写真皇太子同妃両殿下時代の美智子さまと上皇さま、宮内庁提供写真

半世紀以上の時が流れ、重い責務を終えられた上皇さまに心臓の異変が見つかり、ご入院という事態に至りました。当時と変わることなく、美智子さまは3日にわたり病院へ足を運び、上皇さまのご帰宅を心から願うお姿は、ご夫妻の揺るぎない絆を物語っています。

13年ぶりのご入院:精密検査で判明した心臓の異変

2025年5月6日の午後、雨の降る都心で、上皇さまと美智子さまを乗せた車が赤坂御用地の仙洞御所を出発し、文京区にある東京大学医学部附属病院へ向かわれました。上皇さまにとって、これは13年ぶりのご入院となります。宮内庁関係者によると、4月中旬の定期検診で心筋虚血の疑いが判明したことがご入院のきっかけでした。上皇さまご自身に自覚症状はなかったものの、心電図の所見が認められ、仙洞御所での再検査を経て、精密検査のためのご入院となりました。上皇さまは、侍医からの説明を冷静に受け止められていたといいます。

「無症候性心筋虚血」とは?専門医が解説する病状と既往歴

数日間にわたる心電図、X線、心エコー、冠動脈CTなどの精密検査の結果、上皇さまは「無症候性心筋虚血」と診断されました。桂川さいとう内科循環器クリニックの齋藤成達院長は、この症状について次のように解説しています。「『心筋虚血』とは、冠動脈の血流が心筋にうまく行き届かず、一時的に心臓の筋肉が酸素不足に陥る状態を指します。上皇陛下には症状が見られなかったとのことですが、一般的には胸の痛みや重苦しさ、動悸、息切れといった症状が見られることが多いです。」

上皇さまは以前にも心臓に関する既往歴をお持ちです。2012年には狭心症と診断され、東京大学病院で心臓の血流を改善するための冠動脈バイパス手術を受けられました。また、2022年には、血液の逆流を防ぐ弁の機能不全による右心不全と診断されています。これらの経緯を踏まえ、今回の精密検査は、上皇さまの健康状態を慎重に管理するための重要な措置でした。

参考文献

  • 「週刊文春」2025年5月25日号
  • 宮内庁発表
  • Yahoo!ニュース(元記事リンク)