中国で、日本人学校の児童が襲撃される痛ましい事件が相次ぎました。広東省深圳では、10歳の男子児童が刃物を持った男に襲われ命を落とすという、許し難い事件が発生。わずか数ヶ月前には、江蘇省蘇州でも日本人学校のスクールバスが襲撃され、母親と子供が負傷するという事件も起きています。
中国政府は、これらの事件について「関連性はなく、偶発的なものだ」と主張しています。しかし、本当にそうなのでしょうか?
根深く残る反日感情:教育とプロパガンダの影響
中国では、1930~40年代の日本の侵略行為を強調した歴史教育が行われており、それが国民感情に大きな影響を与えていることは否めません。
深圳の事件後、中国のSNS上では「日本人が過去に蒔いた種が、このような悲劇を生んだのだ」といった心ない言葉も飛び交いました。
もちろん、亡くなった児童とその家族に哀悼の意を表し、過激な発言を非難する声も多く上がっています。しかし、反日感情が中国社会に根強く存在していることは事実であり、それが今回の事件の遠因になった可能性も否定できません。
標的にされる日本人学校:「文化侵略」というレッテル
近年、中国国内では日本人学校に対する風当たりが強まっているという指摘もあります。
経済誌「エコノミスト」の調査によると、中国で人気のショート動画アプリ「抖音(ドウイン)」では、日本人学校を「文化侵略」だと非難したり、「スパイ養成機関」だとするデマを拡散する動画が多数投稿されているそうです。
これらの動画は、他の動画に比べて「いいね」の数も2倍近く多く、反日感情を煽るような内容が多くのユーザーに受け入れられている現状が浮き彫りになっています。
中国政府の思惑:国内問題から目を逸らすための「スケープゴート」?
中国政府は、これらの事件と反日感情の関連性を否定していますが、一部の専門家からは疑問の声も上がっています。
中国経済の減速や失業率の上昇など、国内では様々な問題が山積しています。こうした状況下で、国民の不満を日本に向けさせることで、政府への批判をかわそうとしているのではないかという見方もあるのです。
今回の事件は、中国社会に深く根付いた反日感情と、それを利用しようとする政治的な思惑が複雑に絡み合った結果と言えるかもしれません。
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日本政府は、中国政府に対して、在留邦人の安全確保と再発防止策を強く求めていく必要があります。