教員不足が深刻化する日本の教育現場:生徒たちの不安と求められる対策とは?

近年、日本の教育現場では深刻な教員不足が問題視されています。 この状況は、子供たちの学習環境や進路にも影響を及ぼしており、不安の声が高まっています。今回は、教員不足の現状と、子供たちが抱える不安、そして求められる対策について考えていきましょう。

度重なる教員の交代劇:生徒たちの間に広がる不安

東京都立晴海総合高校に通う秀島知永子さん(18歳)は、高校1年生の秋に、それまで英語を教えてくれていた女性教諭が産休に入ったため、初めて見る教員が担当になった時のことを鮮明に覚えています。 しかし、これは始まりに過ぎませんでした。年明けまでの間に、英語の担当教員はさらに2回も交代。わずか1年間で4人もの教員に教わることになったのです。

「産休自体は仕方のないことですが、予定されていたことですよね?」と、秀島さんは疑問を呈します。 2人目の教員が去る際には「契約期間満了」、4人目の教員は校長が「ツテ」で見つけてきた元塾講師だったと説明を受けましたが、詳しい理由は明かされませんでした。

ニュースで「教員不足」の現状を知ってはいたものの、まさか自身がその影響をここまで実感することになるとは思っていなかった秀島さん。将来は教職に就きたいと考えていただけに、「そんなに先生って見つからないんだ」と、改めて教員不足の深刻さを痛感したと言います。

公平な評価は?生徒の努力を適切に評価できるのか

教員の度重なる交代は、生徒たちの学習意欲にも影響を与えかねません。秀島さんも、「短い期間で教壇を離れてしまう先生は、生徒と向き合おうとする気持ちが薄いように感じました」と、不安を口にします。

また、教員不足は授業内容にも影響を及ぼします。秀島さんが高校2年生の時、家庭科の教諭が産休に入りましたが、今回は代替の教員が見つかりませんでした。そのため、別の家庭科教員が2クラスを掛け持ちすることになり、調理実習は後回し、座学が前倒しになるなど、授業計画にも狂いが生じました。

高校では、指定校推薦や総合型選抜(旧AO入試)で大学進学を目指す生徒も多く、成績評価の「評定」が非常に重要になります。 評定は、定期試験の点数だけでなく、授業中の発言や提出物など、日ごろの学習態度も評価の対象となります。そのため、生徒たちは「マイナス評価」を受けないよう、常に教員の目を気にしながら授業を受けています。

このような状況下で、秀島さんのような不安を抱える生徒は少なくありません。 教員が何度も交代した場合、生徒の努力や学習の成果をどのように公平に評価できるのか? これは、教員不足が抱える大きな課題と言えるでしょう。

若者も声を上げる! 教員不足解消へ

教員不足は、子供たちの未来を左右する重要な問題です。秀島さんは、一般社団法人「日本若者協議会」のメンバーとして、教員の労働環境改善に向けた署名活動などに取り組んでいます。

「当事者が声を上げなければ、現状は伝わらない。公立学校で、誰もが安心して学び、成長できる環境を整えてほしい」と、秀島さんは訴えます。

教員不足の解消には、待遇改善や業務負担の軽減、教職の魅力向上など、多角的な対策が必要です。国や自治体、そして私たち一人ひとりが、教育の未来について真剣に考え、行動していくことが求められています。