橋下徹が、政治家時代に感じた「嫌いな権力者にNO!と言える」日本の素晴らしさ


橋下徹氏が衝撃を受けた「石原慎太郎氏のふるまい」

※本稿は、橋下徹著『2時間で一気読み 13歳からの政治の学校』(PHP新書)から一部を抜粋・編集したものです。

「政治」を根本から考える必要性

こんな質問を受けることがあります。昨今の政治家の裏金問題によって広がる政治不信が、こうした発言の背後にはあるのかもしれません。大人からも子どもからもこうした質問を受けますが、いちばん問題なのは、当の政治家本人たちもじつはよく理解していないのでは? と思う瞬間があることです。

「政治家はなんのために存在しているのか、理解できているのだろうか?」

そんなふうに首をかしげる瞬間が、これまでもしばしばありました。政治や司法、日本国憲法の内容、経済の仕組みを皆、学校で一通り勉強するはずですが、世の中に出たら意外と忘れ去ってしまうものです。立派に見える大人が、「政治」についておぼろげな知識しか持ち合わせず、しかし表面上は知ったふうに取り繕って生きている……。そんな人は、じつはあなただけではありません(笑)。

「偉そうなことを言っておいてお前はどうなんだ」という声が聞こえてきそうです。もちろん完璧だと言うつもりはありませんが、弁護士という職業柄、憲法や法律に関しては専門的に学んできた自負はあります。

また大阪府知事・大阪市長・国政政党代表という行政の長や政治家の経験もあります。弁護士からコメンテーターに、コメンテーターから行政の長・政治家に、そして再び弁護士兼コメンテーターに。その都度、膨大な勉強を重ね、専門家にも教えを請い、自分の頭でも必死に考えてきました。

弁護士にしろ、行政の長にしろ、政治家にしろ、人の人生に大きく関わる職業です。誤った法律の知識や偏見に満ちた政治の理解では、人びとを幸せにできません。その分、一般の方よりも多く勉強を重ねてきたつもりです。

加えて大阪府知事・大阪市長になると、自分は絶大な権力を持っていると勘違いしそうになる瞬間もあります。その都度、身を引き締めると同時に、「ああ、日本はこのような仕組みによって”権力の暴走”を防いでいるんだな」と、実感したものです。

僕はいま政治家を引退して、以前どおり弁護士として仕事をしながら、コメンテーターや文筆家として活動しています。世界では次々に予測不可能な事件や紛争が起こり、そのたびに意見を求められます。しかし、目まぐるしく変わる社会状況、国際情勢のなかにあっては、問題が複雑すぎてどこから手をつけていいのやら迷うことがあります。

またSNS時代において世間や専門家たちが、ある一つの意見に強くまとまって、そのうねりが非常に強くなるときがあります。そういうときには、僕は必ず「政治とは何か」という原点に立ち戻るようにしています。

すると、目の前を覆っていた霧の先に光が見えるときや、世間の大きなうねりがじつは間違った方向に進んでいるんじゃないかと感じるときがあるんです。



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