「比例重複剥奪」候補の大量落選も 石破首相が蒸し返した「政治とカネ」問題、執行部改革アピール裏目 与党、過半数割れの可能性


■政治評論家・有馬晴海氏が分析

衆院選(27日投開票)の情勢予測で衝撃の数字が出た。産経新聞社とFNNが19、20日に行った調査で、自民党と公明党の与党で公示前の288議席から70議席程度減らし、過半数(233議席)を割り込む可能性があるという。自民党を率いる石破茂首相(党総裁)は、派閥パーティー収入に絡む裏金事件に関与した議員らの「非公認」を打ち出すなどしたが、自民党への〝大逆風〟はむしろ勢いを増している。重複立候補による〝比例復活〟の保険が認められず、生贄(いけにえ)になった形の34人の候補も後のない戦いを迫られている。政治評論家の有馬晴海氏が個別情勢を分析した。

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「最大の危機感で残り6日間を戦う」「自公過半数を割ればどうなるか。自公だけが責任を持ってこの国を次の時代につなぐことができる」

各地を街頭演説で駆け回る石破首相は21日、危機感をあらわに聴衆に訴えた。

情勢予測で〝低迷〟する大きな要因は、「政治とカネ」の問題だ。有馬氏は「選挙戦で有権者に『裏金事件』が強くインプットされた。野党の攻勢に加え、皮肉にも石破自民党が自ら争点化させた形だ。比例重複を外された候補は必死だが、『必死さ』が『みっともなさ』に見えると挽回は難しい」と指摘する。

自民党は裏金事件で12人を非公認とした。また、34人に小選挙区・比例区の重複立候補を認めなかったが、有馬氏の分析では、この過半数が「落選危機」だ。

夫婦議員の大塚拓氏(51)=埼玉9区=と丸川珠代氏(53)=東京7区、「ヤンキー先生」が愛称の義家弘介氏(53)=神奈川16区、保守派で知られる高鳥修一氏(64)=新潟5区=らも厳しい戦いを強いられている。

参院からくら替えした丸川氏は連日、「私は小選挙区1本です」「どうかお助けください」と号泣しながら支持を訴えている。

有馬氏は「石破首相は総裁選で裏金事件のケジメを『国民に示す』と約束した。だが衆院選で当初は公認の容認に傾き、公示直前に『非公認』『小選挙区・比例区重複立候補を認めず』という対応を打ち出した。基準が不明確でチグハグな対応となり、有権者は党内事情などを優先させたと受け止め、『われわれが自民党にお灸をすえる』との思いを強めた。裏金事件を投票行動に反映させる意向は選挙戦が進むにつれて強まっている」と分析する。

ある自民党議員は「石破首相は『改革』を印象付ける世論受けを狙い、党が既に処分を下した問題を蒸し返した。そもそも『岸田文雄前首相が裏金問題の引責から逃げ回った』と不評だったところに来て、一事不再理を覆した。保守層は『自分を棚に上げ、旧安倍派をまたもつるし上げた』と激怒している。選挙戦の現場からも『執行部の完全な戦略ミス』『肝心の政策論が伝わらない』と悲鳴が上がり、裏金が指摘されなかった候補にまで深刻な影響が出ている」と吐き捨てる。



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