福岡・久留米市の小学校教師殺害事件、夫に懲役16年の実刑判決 裁判員裁判で「自殺」主張退けられる

2023年9月に起きた悲劇、小学校教師の命を奪ったのは

2023年9月、福岡県久留米市で起きた痛ましい事件。市内小学校に勤務する女性教師が、自宅で亡くなった状態で発見されました。当初は自殺の可能性も示唆されていましたが、その後の捜査で、夫による殺害が発覚。2024年10月21日、福岡地裁で行われた裁判員裁判で、夫である渡邉司被告(42)に懲役16年の実刑判決が言い渡されました。

被害者は久留米市の小学校教師、 渡邉彩さん

亡くなったのは、当時35歳の渡邉彩さん。久留米市内の小学校で6年生の担任を務める、子どもたちから慕われる教師でした。事件が発覚したのは2023年10月19日、彩さんの弟から「姉が亡くなっているようだ」と110番通報があったことがきっかけでした。警察が駆けつけたところ、彩さんは自宅で死亡している状態で発見されました。

福岡・久留米市で2023年9月、小学校の女性教諭が夫に殺害されたとされる事件の裁判員裁判で、被告である夫に懲役16年の実刑判決が言い渡された。福岡・久留米市で2023年9月、小学校の女性教諭が夫に殺害されたとされる事件の裁判員裁判で、被告である夫に懲役16年の実刑判決が言い渡された。

不自然な休暇、そして最悪の結末へ

彩さんは2023年9月21日から学校を休んでおり、学校には夫である渡邉被告から「妻の体調不良」を理由とする連絡が入っていました。しかし、その後も休暇は続き、学校側が連絡を取ろうとしても彩さんと接触することはできませんでした。

その後、渡邉被告が逮捕、殺人と死体遺棄の罪で起訴されるという衝撃的な展開に。彩さんの死は、単なる「体調不良」によるものではなく、夫による残忍な犯行によるものだったのです。

裁判で明らかになった、夫の主張と矛盾

2024年9月に始まった裁判員裁判。渡邉被告は死体遺棄の罪は認めながらも、殺害については「妻は自殺した」と無罪を主張しました。しかし、検察側の「彩さんが自殺だと思っているのか」との質問に対し、「そう思っています」と答える一方で、「遺体への蘇生措置は?」との問いには「顔を叩いたり、髪を引っ張ったり、体を揺すったりしたのは、怒りだった」と矛盾する発言を繰り返しました。

裁判では、彩さんの死因や事件当時の状況など、様々な証拠や証言が検討されました。そして、10月21日、裁判長は「被告の主張は信用できない」と判断し、渡邉被告に懲役16年の実刑判決を言い渡しました。

今回の事件は、教育現場で献身的に働く教師が、理不尽にも命を奪われたという点で、社会に大きな衝撃を与えました。改めて、暴力の根絶と、命の尊さについて深く考えさせられる事件となりました。