【兵庫県知事選】齋藤元彦氏の辞職劇の裏側:県庁職員を敵に回した「改革」と「闇」

兵庫県庁を揺るがした「改革」の光と影

兵庫県庁舎の建て直し中止を宣言した齋藤元彦氏。1000億円もの予算削減を掲げ、前任者の負の遺産である「隠れ負債」の返済に充てようという大胆な政策は、多くの県民の支持を集めました。

兵庫県庁舎兵庫県庁舎

しかし、その改革は、20年続いた井戸敏三前知事の時代に築かれた利権構造にメスを入れるものでした。庁舎建設に関わるゼネコンや、天下り先を失うOB職員など、抵抗勢力は少なくありませんでした。

「リモートワーク導入による職員削減ではないか」という職員組合の反発や、「なぜOBを受け入れたのか」というゼネコン側の不満は、齋藤氏の改革がいかに困難な道のりであったかを示しています。

エリート官僚を追い詰めた「告発」の真相

2024年7月、西播磨県民局長だったA氏が自殺という衝撃的な事件が起こります。A氏は、齋藤氏の権力乱用を告発した人物でした。

齋藤元彦氏齋藤元彦氏

京都大学出身のエリート官僚として、井戸前知事の信頼も厚かったA氏。人事部門のトップとして、井戸氏の後継者と目されていた金沢氏の当選を確実なものとするため、人事配置まで行っていました。

西播磨県民局長への異動は、井戸氏からのねぎらいの意味合いもあったと言われています。しかし、齋藤氏の当選により、A氏の運命は大きく変わります。

西播磨地域西播磨地域

井戸氏の出身地であるたつの市を含む西播磨県民局長は、井戸県政において重要なポストでした。しかし、齋藤新体制のもとでは、「左遷」と受け止められた可能性があります。

A氏の自殺は、兵庫県政の闇の深さを物語っています。改革の光と影、そしてそこに渦巻く思惑。齋藤氏を取り巻く状況は、ますます複雑さを増しています。