NHK、元ジャニーズタレント出演再開も… 疑問と違和感が拭えないワケとは?

ここ最近、世間を騒がせているのが、STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所)所属タレントのNHK番組への出演再開問題だ。長年お茶の間を楽しませてきた彼らだが、昨年発覚した故ジャニー喜多川氏の性加害問題により、NHKは出演を見合わせてきた。

しかし、10月16日の定例会見で突如発表された出演再開。ファンからは喜びの声よりも、「え、このタイミングで?」「どういうこと?」といった疑問や戸惑いの声が多数上がっている。一体なぜ、NHKはこんなにも不可解な判断を下したのだろうか?

紅白出場ありき? 出演解禁発表のタイミングに疑問符

まず疑問視されているのが、10月中旬という発表のタイミングだ。11月の大みそかに行われる『NHK紅白歌合戦』の司会者発表からわずか5日後ということもあり、「紅白に出したいからでしょ」「結局は視聴率か」と邪推されても仕方ないだろう。

実際、今回の発表には「番組に出してやる」というNHK側の上から目線を感じた人も少なくなかったようだ。

深まる違和感…『NHKスペシャル』の内容との矛盾

さらに、出演解禁発表の2日後となる10月18日には、追い打ちをかけるように『NHKスペシャル』で「ジャニー喜多川“アイドル帝国”の実像に迫る」の放送が決定。番組HPでは「ベールに包まれたその実像をひも解いていく」と銘打たれ、ジャニー氏の築き上げたアイドル帝国の裏側に迫る内容となっていた。

NHKスペシャルNHKスペシャル

この放送を受けて、NHKは「番組でしっかり検証しましたよ」「もう問題ないという理解を得られましたよね?」と視聴者に訴えたかったのかもしれない。しかし、だとしたらなぜ出演解禁発表の前に放送しなかったのか?

「この番組でジャニー氏の闇を明らかにします。その上で、今後のタレントの出演について考えます」という流れの方が、よほど自然で納得できるはずだ。

そして迎えた20日の『NHKスペシャル』放送。蓋を開けてみれば、番組内容は事務所の現体制に批判的なものが多く、とてもじゃないが「出演再開しても問題ない」と思わせる内容ではなかった。

特に印象的だったのが、現在STARTO社の取締役である元NHK理事・若泉久朗氏の直撃取材だ。記者の質問から逃げるように立ち去る姿は、視聴者に強い印象を与えた。

また、初代ジャニーズ・中谷良さんの姉と、性被害者補償のための会社・SMILE-UP補償本部本部長とのやりとりも衝撃的だった。電話口で「じゃあ謝罪すれば良いのかな、としか今ちょっと言えなくて」「心の底からお詫びができないんで」と発言した本部長。その言葉からは、被害者への誠意や反省は全く感じられなかった。

少なくとも今回の『NHKスペシャル』を見る限り、旧ジャニーズ事務所の体質は何も変わっていないように思える。

出演再開は時期尚早? 多くの疑問を残したまま…

一連の騒動を見ていると、今回のNHKの対応はあまりにも性急かつ不誠実だったと言わざるを得ない。出演再開は、被害者や関係者へのヒアリング、事務所側の組織改革など、真摯な対応があって初めて検討されるべきものではないだろうか?

NHKには、今回の判断に至った経緯や今後の対応について、改めて説明責任を果たすことを求めたい。