御嶽山噴火から10年、山頂の「二ノ池」が消滅  火山灰堆積で登山者に人気の絶景も一変

2014年の噴火から10年、かつて登山者に人気の絶景スポットだった御嶽山の「二ノ池」が消滅したことがわかりました。火山灰の堆積によって水面が徐々に狭まり、ついにその姿を消してしまったのです。今回は、二ノ池消滅の現状と、専門家による今後の見通しについて解説します。

エメラルドグリーンに輝いていた「二ノ池」の記憶

標高3,067メートルの剣ヶ峰北側に位置する二ノ池は、国内最高所の池として知られ、噴火前はコバルトブルーの美しい水面が多くの登山者を魅了していました。御嶽信仰の聖地としても古くから崇敬を集め、その神秘的な雰囲気は多くの人の心を捉えて離しませんでした。

噴火前の二ノ池噴火前の二ノ池

2014年の噴火、そして「二ノ池」の異変

2014年9月27日、御嶽山は突然の噴火を起こしました。この噴火は戦後最悪の火山災害となり、多くの犠牲者を出しただけでなく、山頂付近の自然環境にも大きな影響を与えました。

噴火後、二ノ池周辺には大量の火山灰が降り積もりました。雨水や雪解け水と共に火山灰が流れ込み続けることで、池の水位は徐々に低下。水面は縮小し続け、ついに2024年8月、完全に干上がってしまったのです。

干上がった二ノ池干上がった二ノ池

二ノ池山荘の支配人、小寺祐介さんによると、噴火後から毎年水位が減っていく様子が確認されており、いつかは干上がってしまうのではないかと危惧していたそうです。そして、2024年8月2日、ついにその日が訪れたのです。

専門家「復活は難しい」 火山活動と自然の力に左右される未来

御嶽山科学研究所の国友孝洋代表は、二ノ池の歴史は少なくとも1000年以上前に遡ると推測しています。今回の噴火は、10年という短期間で千年以上の歴史を持つ二ノ池を埋め尽くしてしまうほどの規模だったと、改めて噴火の大きさを物語っています。

では、今後二ノ池が再び水で満たされる可能性はあるのでしょうか?国友さんは、「新たな水蒸気噴火によって水が溜まる窪みができたり、周囲に土砂が堆積して水が溜まりやすい環境が生まれなければ難しい」と予測しています。

二ノ池の復活は、今後の火山活動や自然環境の変化に大きく左右されることになりそうです。

まとめ:自然の力と災害の爪痕、そして未来への教訓

かつて美しいエメラルドグリーンの水面で登山者を魅了した二ノ池は、噴火という自然の猛威によってその姿を消してしまいました。しかし、火山灰が堆積した周辺では、少しずつ植生が回復しつつあるという報告もあります。

今回の二ノ池消滅は、自然の力強さ、そして災害の大きさを改めて私たちに突きつける出来事となりました。同時に、自然環境の変化と災害への備えについて、改めて考えるきっかけを与えてくれているのではないでしょうか。