これが、千葉県印西市の自称個人事業主、宝田真月(まづき・22)の“闇バイト”への応募理由である。SNS上で集散する「匿名・流動型犯罪グループ」、いわゆる“トクリュウ”の「ホワイト案件」をうたう投稿を見つけ、応募したのだった。
「宝田は、10月19日、神奈川県警に強盗殺人容疑で逮捕されました。同月15日ごろ、横浜市青葉区の住宅で住人の75歳男性を殺害し、現金約20万円やネックレスなどを奪った疑いです」
と、社会部デスク。
「スマホを通じた指示によって、宝田は面識のない二人と3人で犯行に及びました。“個人情報を伝えてしまい、同居する家族に危害が加えられるかもしれないと考え、断れなかった”と供述しています」
指示役との連絡には、匿名性の高い通信アプリ「シグナル」が使われていた。
「この強盗殺人事件は被害者が死亡した唯一の事件ですが、今年の8月以降、首都圏で類似の強盗事件が頻発しています。初めのうちは刃物を持った実行役が物色する程度でしたが、次第に、住人を縛って鈍器で殴るなど凶暴化しました」
30人以上の実行役、見張り役を逮捕
一連の事件を受け、警視庁と神奈川、埼玉、千葉の三県警は合同捜査本部を設置。8月以降の約2カ月で発生した14事件を重点対象として、300人態勢で捜査に当たっている。警察庁担当記者によれば、
「北海道や栃木県などでも似た事件が起きていて、類似事件は少なくとも6都道県で19件に上ります。これらの事件ではすでに、強盗致傷や監禁などの容疑で30人以上の実行役や見張り役が逮捕されています」
このうち5都県の11事件で指示役のアカウントが30個ほど確認されており、
「指示役のシグナルのアカウントが、複数の事件で重複しています。“赤西”というアカウントが神奈川県厚木市の中古品店や鎌倉市の質店などの4事件で浮上。この両市の事件でも使われていた“小山”は、さいたま市西区の住宅など4事件で使われていました」