ふるさと納税の米騒動:在庫不足で返礼品送れず、寄付者に波紋

ふるさと納税で人気の返礼品であるお米が、在庫不足のため届かないという事態が茨城県内を中心に発生し、波紋を広げています。米の高騰と品薄が背景にあり、寄付者からは不満の声が上がっています。今回は、この「令和の米騒動」の実態と、返礼品を取り巻く課題について詳しく解説します。

茨城県坂東市で1万件の米が未発送に

茨城県坂東市では、ふるさと納税の返礼品として用意していた約1万件分の米が発送できない事態に陥りました。原因は、全国的な米の価格高騰と品薄に加え、想定をはるかに上回る寄付が殺到したためです。返礼品として人気を集めていたのは、地元農家が生産する「令和6年産冬眠米ハイブリッドとうごう3号5キロ」。7,000円の寄付で新米5キロがもらえるという割安感と、真空パックによる高い保存性が人気の理由でした。

alt坂東市で返礼品として用意されていたお米alt坂東市で返礼品として用意されていたお米

市は寄付の受付に上限を設けていなかったため、年末の税控除期限に向けて申し込みが殺到。在庫不足に気づき、2025年1月7日に受付を中止しましたが、発送できたのは12月23日申し込み分まで。1月6日までの間に受け付けた1万540件、7,378万円分の米が未発送となりました。坂東市では、ふるさと納税の担当者は「寄付をしてくださった方々に心からおわびする」と謝罪し、代替品として2025年秋の新米を送付、キャンセル希望者には返金対応を行うとしています。

在庫管理の甘さと需要予測の不足が露呈

坂東市では、発送済み数や申込数、在庫数の一元管理ができていなかったこと、そして寄付受付に上限を設けていなかったことが今回の事態を招いた要因と分析しています。 食糧問題に詳しい専門家、山田一郎氏(仮名)は「主食である米を返礼品とする以上、需要変動を考慮した綿密な在庫管理と、寄付受付数の上限設定は必須と言えるでしょう」と指摘しています。

ふるさと納税仲介サイトには苦情殺到

ふるさと納税の仲介サイトには、「ずさんな在庫管理」「米の需要殺到は予測できたはず」といった苦情が寄せられており、市の対応に批判が集まっています。

他の自治体でも同様の事態が発生

龍ケ崎市や守谷市、利根町など、他の茨城県内の自治体でも、米の在庫不足により返礼品が発送できないケースが相次いでいます。龍ケ崎市では、農家側が受注個数の設定をし忘れ、制限なく受注できる状態になっていたことが原因とされています。

alt龍ケ崎市で返礼品として用意されていたお米の在庫不足を知らせるウェブサイトalt龍ケ崎市で返礼品として用意されていたお米の在庫不足を知らせるウェブサイト

需要予測と在庫管理の重要性

これらの事例は、ふるさと納税における返礼品の需要予測と在庫管理の重要性を改めて浮き彫りにしました。特に、米のような生活必需品を返礼品とする場合は、より慎重な対応が必要となるでしょう。

まとめ:返礼品システムの見直しが必要か

ふるさと納税制度は、地方自治体の財源確保に貢献する一方で、返礼品競争の激化や今回のような在庫不足問題など、様々な課題も抱えています。寄付者と自治体双方にとってより良い制度となるよう、返礼品システムの見直しも検討すべき時期に来ているのかもしれません。