藤井聡太竜王(名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖=22)が佐々木勇気八段(30)の挑戦を受ける、将棋の第37期竜王戦7番勝負第3局が25、26の両日、京都市の世界遺産「総本山仁和寺」で行われ、先手の藤井が佐々木を下し、シリーズ対戦戦績を2勝1敗とした。
【動画】藤井聡太竜王が99手で勝利し2勝目、佐々木勇気八段が投了
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今期の竜王戦はレベルの高い大熱戦続きで、本当に見応えがあります。互角の展開から藤井竜王が抜け出しましたが、随所に好手が見られました。
序盤の7筋まで逃げた玉を6筋に戻した手。感動しました。結局、この玉型が最後まで物を言いました。入玉や1筋方向への逃走まで見越していますから。
攻めは相変わらずシャープです。9筋の歩を突き返して佐々木陣の玉頭に照準を定めた手は厳しかったです。7筋で角金交換をして、もらった金をすぐに打ち返した手はド迫力。「俗手の妙手」という格言もありますが、「肉を切らせて骨を断つ」聡太流の真骨頂でしょう。最後の決め手は5筋のと金。「5三のと金に負けなし」の通り、要の地点を制圧して勝利への第1歩となりました。
敗れた佐々木八段は、特に欠点は見当たりません。9筋の歩を2手使って突き越したり、角交換ダイレクト向かい飛車にするなど、趣向を凝らしています。前例のない形になっても、藤井竜王が巧みに戦って2勝していると言えましょう。
スコアは2勝1敗ですが、佐々木八段は第2局の先手番で矢倉を採用して快勝しています。再び採用するかもしれません。第4局がシリーズの今後を左右しそうな気がします。(加藤一二三・九段)