社会現象を巻き起こした「踊る大捜査線」シリーズ。12年ぶりの新作映画『室井慎次 敗れざる者』がついに公開されました。今回は、主人公・青島俊作の先輩であり、”事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ！”のセリフでおなじみの室井慎次にスポットライトが当てられています。
メガホンを取ったのは、亀山千広プロデューサー、脚本の君塚良一とともに「踊る」シリーズをヒットに導いた立役者、本広克行監督。しかし、意外にも本広監督は当初、オファーを断っていたといいます。一体なぜなのでしょうか？
本広監督が新作映画に挑んだ理由、作品作りの舞台裏、「踊る」シリーズの魅力について迫ります。
「コメディーが苦手」 本広監督が当初オファーを断った理由とは？
alt「踊る大捜査線」シリーズ最新作、『室井慎次 敗れざる者』
「僕にとって『踊る』はコメディーなんです」と語る本広監督。しかし、「今回の主役の室井（柳葉敏郎）さんはコメディーを引き立てる側の人。それは僕には苦手だなと思い、向いていないと思いました。だから何度も断ったんです」と当時を振り返ります。
主演の柳葉敏郎も当初はオファーを断っていたそうで、交渉の場に同席していた本広監督は「やった、ラッキー」と心の中でガッツポーズをしたのだとか。
恩師である亀山プロデューサーの言葉、そして入院…？
alt「踊る大捜査線」シリーズ最新作、『室井慎次 敗れざる者』より
では、なぜ監督を引き受けたのでしょうか？
「亀山さんに『お前にやってもらわないと困る』『久しぶりのクリエイティブな仕事なんだ。社長業じゃなく』と言われているうちに、もしかしたらこれが亀山さんの最後の作品になるのかもしれないと思ったんです」と語る本広監督。
「上司ではないけど、恩師であることは間違いないので、優先しないといけない」と決意を新たにした矢先、思わぬ事態が…。
「台本をいただいて、演出的に考えることが多すぎて、ほかの仕事もたくさん重なってたので、熱中症で入院しちゃったんですよ、去年の夏」と驚きの告白。しかし、「でも、それがかえってよかったのかもしれません」と前向きに捉えています。
ヘリコプター登場は台本になかった！？
亀山プロデューサーは、本広監督が新作映画に難色を示していた理由を君塚脚本家に尋ねたところ、「ヘリが出てないからじゃないですか？」という驚きの答えが。そこで、君塚脚本家が台本にヘリコプターの登場シーンを追加したというのです。
「もちろん、ヘリだけが理由じゃないんですよ（笑）」と前置きしつつも、「ただ、車がいっぱい来るような躍動感のあるシーンや、事件もどんどん足してもらって、やりやすくなった。それでクランクインできました」と、ヘリコプターの登場が監督のモチベーションを上げたことを明かしています。
さらに、「ヘリから降りてくるのが誰だったら面白いんだろうと考えて、『緒方かよ！』がファンの方は一番笑えるだろうなって」と、緒方薫（甲本雅裕）が登場するシーンの裏側も披露してくれました。
「踊る」シリーズへの熱い想いと、製作陣の絆を感じさせるエピソードの数々。12年ぶりの新作映画『室井慎次 敗れざる者』、見逃せません！
