台湾TSMC創業者が警鐘!半導体業界に立ちはだかる「試練」とは?

世界トップのファウンドリ企業TSMCに暗雲?

世界最大の半導体受託製造企業である台湾のTSMCは、2023年第3四半期に過去最高の業績を達成しました。しかし、創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏は、変化する貿易環境を「厳しい試練」と表現し、今後の成長に懸念を示しました。

自由貿易の終焉、TSMCの成長に影を落とす

張氏は、新竹市で開催されたTSMCの年次スポーツイベントで、「半導体、特に最先端半導体の自由貿易は死んだ」と発言。米中対立を背景とした輸出規制強化など、国際的な貿易摩擦が激化する中、TSMCの今後の成長戦略に大きな課題を突きつけています。

AI・量子コンピューター時代の必須要素、最先端半導体の行方

人工知能(AI)や量子コンピューターなど、次世代の技術革新を支える最先端半導体は、今や国家戦略物資としての重要性を増しています。世界シェア90%以上を誇るTSMCは、この最先端半導体市場において圧倒的な存在感を示しています。

半導体イメージ半導体イメージ

米中対立の渦中、TSMCの苦悩

しかし、米中技術覇権競争の激化は、TSMCを難しい立場に追い込んでいます。自由貿易体制の崩壊と保護主義の台頭は、これまでグローバルなビジネス展開で成功を収めてきたTSMCにとって大きな痛手となっています。

ファーウェイへの供給停止、TSMCの苦渋の決断

ロイター通信の報道によると、TSMCは、ファーウェイのAIチップセットから自社製半導体が発見されたことを受け、特定の中国企業への製品出荷を停止しました。米国の輸出規制強化により、TSMCは主要顧客であるファーウェイへの供給を制限せざるを得ない状況に追い込まれています。

TSMC工場イメージTSMC工場イメージ

TSMCの未来、そして世界経済への影響は?

世界経済の行方を左右するとも言われる半導体産業。TSMCの今後の動向は、世界経済全体にも大きな影響を与える可能性があります。国際的な協調と技術革新が求められる中、TSMCは「厳しい試練」を乗り越え、成長を続けることができるのでしょうか。