ロシアの隣国ジョージアで行われた議会(定数150)総選挙に対して27日、選挙監視団や野党側から選挙で不正があった疑いがあるとの指摘が相次いだ。選挙はロシアとの関係を重視する与党が勝利したが、ジョージアが加盟を目指す欧州連合(EU)は不正がなかったかを調査するよう要求。国内外から与党と政権への風当たりが強まっている。
選挙は26日に投開票され、ロイター通信によると与党「ジョージアの夢」は改選前より1議席少ない89議席を獲得し、過半数を維持する。主要野党4党は計61議席にとどまる見通し。
全欧安保協力機構(OSCE)の選挙監視団は27日、投票用紙の水増しや贈収賄、有権者への脅迫などの違反行為が結果に影響を与えた可能性があると指摘。結果が不正だとまでは踏み込まなかったが、監視団の一人は「ジョージアでの民主主義の後退に深い懸念を表明し続けている」と指摘した。
野党幹部と協議した親EU派のズラビシビリ大統領は、選挙はロシアの影響を受けたと主張。「全くの詐欺で、国民の票を完全に奪い去るものだ」と批判し、国民に抗議活動を呼びかけた。ただし、ジョージアでは政治の実権は大統領ではなく国会で選ばれる首相が握っている。
EUのミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)も27日、X(ツイッター)への投稿で、中央選管などに対し「選挙の不正行為について素早く、透明性のある独立した調査と裁定を行う」よう求めた。
ジョージアの夢出身のコバヒゼ首相は英公共放送BBCのインタビューに、今回の選挙は大部分が電子投票で行われたことから「結果を操作する余地は全くない」と不正疑惑を否定した。だが、国内外で不信が強まれば、政権運営に支障をきたす可能性もある。【ブリュッセル岡大介】