米国大統領選挙まで残りわずか1週間。民主党ハリス副大統領と共和党トランプ前大統領による熾烈な戦いが、激戦7州を中心に繰り広げられています。終盤に差し掛かり、トランプ氏の勢いが増しており、陣営には自信が漂い始めています。
トランプ氏、ニューヨークでの集会でハリス氏を批判
10月27日、ニューヨーク・マンハッタンの「マディソン・スクエア・ガーデン」で開かれた集会で、トランプ氏は「今回の選挙は、無能と失敗が4年続くのか、最も素晴らしい時代が始まるのかを選ぶ選挙だ」と述べ、ハリス氏を強く批判しました。
物価上昇や不法移民問題への不満を訴える
トランプ氏は、物価上昇(インフレ)や不法移民問題に不満を抱える中間層を意識し、「ハリス氏が大統領になれば、アメリカの経済は決して回復しない。ハリス氏の下では、アメリカは犯罪者と不法移民の聖域になってしまう」と主張しました。集会では、不法移民による犯罪ニュースをまとめた映像が流され、支持者からは「送り返せ!」とシュプレヒコールが起こりました。
終盤戦でトランプ氏が巻き返し
7月にバイデン大統領の後継指名を受けたハリス氏は、当初優勢とみられていました。しかし、最近の世論調査では、トランプ氏が巻き返している傾向が見られます。Wall Street Journal紙が10月に実施した世論調査によると、移民問題、経済、外交政策といった主要な政策課題において、ハリス氏よりもトランプ氏の政策を支持する回答が目立ちました。
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激戦7州ではトランプ氏が優勢か
選挙戦の行方を左右する激戦7州では、トランプ氏が僅差ながらもリードしています。ジョージア州では2.3ポイント、アリゾナ州では1.5ポイントの差をつけています。その他の5州では1ポイント差以内と接戦ではありますが、前回、前々回の大統領選と比較すると、トランプ氏の優位性は明らかです。
2016年の大統領選を彷彿とさせる展開
2016年の大統領選で、トランプ氏は民主党のヒラリー・クリントン候補と対決した際、選挙直前に全米で2.2ポイントの差をつけられていました。激戦州でも苦戦が伝えられていましたが、最終的には勝利を収めました。この時、世論調査に回答しない「隠れトランプ支持者」の存在が指摘されました。
トランプ陣営、油断せず選挙戦終盤に臨む
過去には、選挙戦終盤で情勢が大きく変動したケースも少なくありません。2016年の大統領選では、FBIがクリントン氏が国務長官時代に公務で私用メールアカウントを使用し、機密情報を含むメールをやり取りしていた問題の捜査を、投票日の直前に再開したことで、クリントン氏は失速しました。トランプ陣営は、選挙戦終盤の「失策」が命取りになりかねないと考えており、メディア出演を自身に好意的な番組に限定するなど、慎重な姿勢を崩していません。