「その日、私もお店にいたんです」(常連客)──10月27日の早朝、東京・新橋駅近くにあるガールズバーで店の従業員・谷沢優奈さん(18)が首などを刺され死亡した事件。警視庁愛宕署は、当時ガールズバーの客として来店していた千明博行容疑者(49)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。千明容疑者は刃渡り10センチほどの果物ナイフのようなものを前もって用意しており、強い殺意をもって犯行に及んだとみられている。【前後編の後編。前編から読む】
事件前日の23時頃から、主に谷沢さんの接客を受けながら店内で6時間ほど過ごしたという容疑者だが、彼女とは事件の前からすでに接点があったようだ。全国紙社会部記者は語る。
「警察によれば男は『被害者とは6月にマッチングアプリで知り合った』と供述しています。また、谷沢さんは今月上旬、警察に『マッチングアプリで知り合った男に財布からお金を盗まれたので取り返してほしい』と相談していたことがわかっており、このトラブルの相手も千明容疑者と同一とみて経緯を調べています」
男は群馬県渋川市の実家に住んでおり、谷沢さんに会うために遠方から3時間ほどかけて店に訪れていたとみられる。
当日店にいた常連客の証言
30ほど年齢が離れた男女は、なぜ知り合うことになったのだろうか。近隣のガールズバー店長は言う。
「事件があった店はけっこう大所帯で、みんな名前くらいは知っていると思います。24時間通して営業していることもあるし、学生さんとか若い子が多いのでマネジメントやスケジュール管理がすごい大変だと思いますよ。ここ1ヶ月で長年店長をやっていた男性が辞めて、別のボーイの方がその役割を引き継いだばっかりだったのでバタバタしていたんじゃないかな。
いわゆる色恋営業をしている印象はないですけど、マッチングアプリでの集客は男性に手が届きそうで届かない“絶妙な特別感”を演出できるので、客を沼らせやすいんですよ。最近の若い子はあまりリスクを考えずに手を出してしまう子も多いですからね。
男性からすると“プライベートきっかけ”で知り合うので『俺は他の客とは違う』という優越感も生まれるし、自然と距離も近くなりやすい。しかしあくまで客は客。もしかしたら犯人の男性はいわゆる『ガチ恋』だったのかもしれませんね……」