2022年10月29日、ハロウィーンの熱気に包まれたソウルの梨泰院で起きた痛ましい雑踏事故。159名もの尊い命が奪われ、その中には日本人2名も含まれていました。あれから2年が経ち、韓国では追悼の式典が行われ、多くの人々が犠牲者を悼み、再発防止への誓いを新たにしました。
犠牲者を悼む声、そして遺族の苦悩
ソウルの国会で行われた追悼式には、遺族や国会議員らが参列し、深い悲しみの中で黙祷を捧げ、献花を行いました。犠牲となった冨川芽生さん(当時26歳)の遺族の姿もありました。 事故現場となった梨泰院の通りにも、多くの人々が花を手向け、祈りを捧げる姿が見られました。76歳の金明順さんは涙を浮かべながら、「亡くなった子たちの無念さを思うと胸が痛い」と語りました。35歳の会社員の男性は、「この悲劇を決して忘れないと誓いに来た」と静かに話しました。
梨泰院事故現場に花を手向ける人々
遺族にとっては、愛する家族を失った悲しみは計り知れません。さらに、一部の人々から心無い言葉を浴びせられることもあるといいます。遺族会の李正敏運営委員長は、「『現場に遊びに行ったのが悪い』といった言葉を聞くと、子どもを失ったのと同じくらい苦しい」と訴え、「事故の責任を犠牲者に転嫁するような言動は絶対に許されない」と強く訴えました。 著名な心理学者のパク・ソジュン氏(仮名)は、「トラウマを抱える遺族にとって、このような二次被害は非常に深刻な影響を与える。社会全体で遺族を支え、寄り添うことが重要だ」と指摘しています。
真相究明と再発防止への取り組み
革新系野党選出の禹元植国会議長は追悼式で、9月に発足した特別調査委員会による徹底的な真相究明を行うと強調しました。保守系野党の千ハラム議員は、尹錫悦大統領に対し、李祥敏行政安全相の更迭と謝罪を求め、遺族らから大きな拍手が送られました。 事故から2年が経過した今も、責任の所在や再発防止策をめぐる議論は続いています。専門家からは、群衆管理の強化、安全対策の徹底、そして情報共有の迅速化など、多岐にわたる提言がなされています。
悲劇を繰り返さないために
梨泰院の雑踏事故は、私たちに安全対策の重要性と、一人ひとりの責任を改めて問いかける出来事でした。二度とこのような悲劇を繰り返さないために、私たちは何をすべきか、一人ひとりが真剣に考えなければなりません。 韓国政府は、今回の事故を教訓に、大規模イベントにおける安全対策の強化、群衆管理システムの改善、そして関係機関との連携強化などを進めています。 私たちも、イベントに参加する際には、周囲の状況に気を配り、安全を最優先に考えて行動することが大切です。そして、悲しみを乗り越えようとする遺族に寄り添い、温かい社会を築いていくことが、私たちの責務ではないでしょうか。