JR東日本千葉支社の労働組合、国鉄千葉動力車労働組合(千葉動労)は、2025年6月30日、公式サイトで、JR東日本の幕張車両センターにて、車両清掃作業中の作業員が倒れ、その後死亡したと発表した。この痛ましい事故を受け、同組合はJR東日本の労働環境と外部委託の問題点を厳しく指摘している。
JR東日本 幕張車両センターに停車中の車両
千葉動労の主張:外部委託による無責任体制と劣悪な労働環境
千葉動労によると、死亡した作業員は6月21日、作業中に意識不明となり救急搬送され、24日に死去した。この車両外板清掃作業は、JR東日本からグループ会社のJR千葉鉄道サービスに委託され、さらにそこから再々委託された企業がスキマバイトサービス「タイミー」で募集・採用した人材が行っており、死亡した作業員は当該業務が初めてだったという。
同組合は、今回の死亡事故は「誰も責任をとらない、ありえない外部委託の実態」が招いたものだと強く非難している。加えて、近年の温暖化の影響で作業現場が「人間の限界を超える労働現場」となっていると労働環境の劣悪さを訴え、JR東日本が金銭面でグループ会社を締め上げコストカットを強制している姿勢を「絶対に許すことはできない」と糾弾。労働現場に必要なのは要員増であると訴えた。
JR千葉鉄道サービスの応答:体調不良で死亡、原因不明、労基署が調査中
一方、車両清掃事業を行うJR東日本のグループ会社であるJR千葉鉄道サービスの総務課担当者は、作業員が体調不良で死亡した事実は認めつつも、死亡の原因や労働環境などとの関連については現時点では不明であるとした。
当時の状況について担当者は、作業員は車両の側面や窓ガラスを清掃しており、10時頃に作業を開始、11時頃に休憩、11時20分頃に作業を再開したが、本人から体調不良の申し出があったため、空調の効いた車内で休んでいたと説明。12時過ぎに午前の作業が終了し、休憩所に戻った際に「急に体調が変化して救急搬送され、24日にお亡くなりになった」という状況だと述べた。作業場所は屋外だったが、異常があればすぐ車内で休めるよう、電車内に冷房を入れていたとした。気象庁の公式サイトによると、事故発生日である21日11時頃の千葉市の気温は27.7度だった。
担当者は、現時点での死亡原因は「不明」であり、労働災害に当たるか否かについても「労働基準監督署で調査中と聞いております」と回答した。なお、死亡した作業員の年齢については、遺族の承諾が得られていないとして回答を控えるとした。
まとめ
今回の事故は、JR東日本の車両センターにおける労働環境、特に外部委託された清掃業務における安全管理や責任の所在に重大な問いを投げかけている。労働組合は抜本的な労働条件の改善と要員増を強く求めており、労働基準監督署による調査の結果が待たれる。