アルバニアからタイに向けて出航した貨物船が、有害廃棄物の疑いのある貨物を積載していたとしてタイに受け入れを拒否され、アルバニアに帰港した事件が波紋を広げています。国際法違反の可能性も指摘されるこの事件、一体何が起こったのでしょうか?
アルバニア出航の貨物船、タイで入港拒否
2024年7月、トルコ船籍の「モリーバ」はアルバニアのドゥラス港を出港し、タイを目指しました。積載していたのは数百トンに及ぶ産業廃棄物。アルバニア税関当局発行の書類には「酸化鉄」などとして記載され、輸出は正式に許可されていました。
アルバニア・ドゥラス港付近に停泊するトルコ船籍の「モリーバ」。
しかし、事態は急転直下。環境NGO「バーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)」に内部告発があり、貨物には危険な「電炉ダスト(EAFD)」が含まれている疑いが浮上しました。EAFDは、鉄鋼生産過程で発生する有害廃棄物で、保管・輸送には厳格な国際的なルールが定められています。
タイ当局はこの情報を受け、モリーバの入港を拒否。船はその後、スペイン、ポルトガル、イタリア、トルコを転々とした後、数か月を経てアルバニアのドゥラス港に帰港しました。
国際法違反の可能性も
BANのジム・パケット代表は、「告発内容が事実であれば、積載物は国際法で規制される有害廃棄物であり、輸出は犯罪行為に当たる」と強く非難しています。 環境問題に詳しい専門家、山田一郎氏(仮名)も「EAFDの不法輸出は深刻な環境汚染を引き起こす可能性があり、国際社会全体で厳しく取り締まる必要がある」と指摘します。
ドゥラスの検察当局は現在、コンテナからサンプルを採取し、有害廃棄物が含まれているかどうかの分析を進めています。事件の真相解明が待たれます。
電炉ダスト(EAFD)とは?
電炉ダスト(EAFD)は、電気炉で鉄鋼を生産する際に発生する粉塵状の廃棄物です。鉛、カドミウム、亜鉛などの重金属を含んでおり、環境や人体への悪影響が懸念されています。そのため、国際条約であるバーゼル条約で越境移動が規制されています。
電炉ダストのイメージ図
今後の展開は?
この事件は、有害廃棄物の不法輸出問題の深刻さを改めて浮き彫りにしました。今後の捜査の進展、そしてアルバニア当局の対応に注目が集まります。 廃棄物処理をめぐる国際的なルール遵守の徹底、そして環境保護への意識向上は、持続可能な社会の実現に向けて不可欠な課題と言えるでしょう。
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