防衛省は31日、北朝鮮が同日午前7時11分ごろ、平壌近郊から少なくとも1発の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の弾道ミサイルを北東方向に向けて発射したと発表した。同8時37分ごろに北海道奥尻島の西方約200㌔の日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下した。韓国軍合同参謀本部は、長距離弾道ミサイルを高角度で打ち上げて飛距離を抑えるロフテッド軌道で発射したとの分析を明らかにした。
北朝鮮によるICBM発射は昨年12月18日の新型ICBM「火星18」以来となる。
防衛省によると、ミサイルは飛距離約1千㌔、最高高度は7千㌔を超えて約86分間飛翔した。中谷元・防衛相は防衛省で記者団に「これまでで最長の飛翔時間、最高の高度だと推定している」と説明し、新型ミサイルの可能性を示唆した。
船舶や航空機などへの被害情報は確認されていない。石破茂首相は、情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して迅速・的確な情報提供を行うことなどを関係省庁に指示した。
日本政府は、弾道ミサイル発射は国連安全保障理事会決議に違反し、国民の安全に関わる重大な問題だとして、北朝鮮に対し厳重に抗議し、強く非難した。首相官邸で国家安全保障会議(NSC)を開き、情報を集約し、対応を協議した。
北朝鮮による弾道ミサイル発射は9月18日以来。米韓国防相は米国で現地時間30日に会談し、北朝鮮がウクライナを侵略するロシアに派兵したことを非難した。米国は11月5日に大統領選を控える。米本土を狙う長距離弾道ミサイルを日本近海に撃ち込むことで、北朝鮮の脅威に対抗し連携を強める日米韓を牽制する狙いとみられる。
韓国国防当局は30日に北朝鮮がICBMの移動式発射台を配備済みだと国会で報告。警戒を強めていた。北朝鮮メディアは23日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記がICBMなどを運用する戦略ミサイル基地を視察し、核戦力の対応態勢を徹底して整えるよう指示したと伝えていた。(小沢慶太、ソウル 桜井紀雄)