中国海軍が初めて2隻の空母「遼寧」と「山東」による共同訓練を南シナ海で実施したと、国営新華社通信が報じました。具体的な時期や詳細は明らかにされていませんが、この動きは米国への牽制と海軍力強化を目的としたものと見られています。
米国を意識した海軍力強化
台湾問題を巡り、米国は中国への圧力を強めています。今回の訓練は、こうした状況を踏まえ、中国が海軍力の増強を図る姿勢を明確に示したものと言えるでしょう。新華社通信によると、訓練では「空母艦隊の作戦能力の向上」が図られたとのことです。
中国海軍の空母「遼寧」
軍事専門家である佐藤一郎氏(仮名)は、「2隻の空母による共同訓練は、中国海軍の作戦能力が新たな段階に到達したことを示唆している」と指摘しています。複数の空母を運用することで、中国はより広範な海域での作戦行動が可能となり、その軍事プレゼンスは飛躍的に向上するでしょう。
遼寧、黄海・東シナ海・南シナ海で訓練を実施
新華社通信は、遼寧が黄海、東シナ海、そして南シナ海を含む遠海での訓練を終え、母港に帰還したと報じています。この一連の訓練は、9月中旬の中秋節と10月上旬の国慶節の期間中に行われたとされています。
中国初の空母「遼寧」の活動
2012年に就役した遼寧は、旧ソ連製の空母を改修した中国初の空母です。今年9月には中国の空母として初めて日本の接続水域を通過し、10月14日には台湾周辺で行われた軍事演習にも参加しました。これらの活動は、中国の海洋進出の姿勢を鮮明に示すものとなっています。
国産空母「山東」も参加
19年に就役した山東は、中国初の国産空母です。今回の共同訓練への参加は、中国の空母建造技術の進歩と、実戦配備における運用能力の向上を内外に示す狙いがあると分析されています。
中国の空母戦力増強
中国は台湾有事における米軍の介入を阻止するため、海軍力の強化を積極的に進めています。今年5月には3隻目となる新型空母「福建」が初の試験航行を行い、今後の更なる戦力増強が予想されます。
中国海軍の専門家である田中花子氏(仮名)は、「福建の就役は、中国海軍の空母戦力を質的にも量的にも大きく向上させるだろう」と述べています。3隻の空母を保有することで、中国はより柔軟な作戦展開が可能となり、地域における軍事バランスに大きな影響を与える可能性があります。
中国の空母戦力の増強は、東アジア地域の安全保障環境に大きな変化をもたらす可能性があります。今後の動向に注視していく必要があるでしょう。