ニューデリー、ディワリ明けの大気汚染深刻化 健康被害懸念

ヒンドゥー教の新年を祝う「ディワリ」の祝祭ムードもつかの間、インドの首都ニューデリーは深刻な大気汚染に見舞われています。11月1日、街は爆竹由来の白いスモッグに覆われ、住民の健康への影響が懸念されています。

ディワリ後のニューデリー、スモッグで視界不良

ディワリで使用された大量の爆竹の影響で、ニューデリーの大気汚染は急激に悪化しました。祝祭期間中の爆竹使用は禁止されていましたが、夜通し爆竹の音が鳴り響き、街には火薬の臭いが漂っています。政府機関が発表した大気汚染指数は、1日正午時点で2番目に深刻な「非常に悪い」レベルに達し、微小粒子状物質(PM2.5)による健康被害のリスクが高まっています。

ニューデリーのスモッグニューデリーのスモッグ

住民の声:息苦しさ、目の痛み訴える

街を歩く人々は、この深刻な大気汚染に苦しんでいます。インド門近くで出会った主婦のルーマ・シンさん(49歳)は、「息がしづらいし、目も痛む」と訴えました。また、広場で運動をしていたビクラント・ウパディヤイさん(28歳)は、「爆竹は祝うための正しい方法ではない。他に方法があるはずだ」と、伝統的な祝祭方法に疑問を投げかけています。

大気汚染問題に詳しい環境学者、佐藤一郎氏(仮名)は、「PM2.5への曝露は呼吸器疾患や心血管疾患のリスクを高める可能性がある」と警鐘を鳴らしています。「特に子供や高齢者は影響を受けやすい」と付け加え、対策の必要性を訴えています。

大気汚染の根本原因と政治の責任

ニューデリーの大気汚染は、世界でも最悪レベルと言われています。爆竹以外にも、車の排ガスや近隣州で行われる野焼きも大きな原因となっています。首都圏政府と近隣州政府は、互いに責任をなすりつけ合うばかりで、抜本的な解決策は見出せていません。ビクラントさんは、「責任のなすりつけ合いではなく、問題解決に真剣に取り組んでほしい」と訴えています。

ニューデリーの現状は、祝祭と環境問題の両立の難しさを浮き彫りにしています。持続可能な社会の実現に向けて、政府、企業、そして市民一人ひとりの意識改革が求められています。

未来への課題:伝統と環境の調和

ディワリはインドの人々にとって大切な伝統行事です。しかし、その伝統が深刻な大気汚染を引き起こし、人々の健康を脅かしている現状を無視することはできません。環境に配慮した新たな祝祭の形を模索し、伝統と環境保護の調和を目指していくことが、ニューデリーの未来にとって重要な課題となっています。