平成を舞台にしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。主人公・米田結(橋本環奈)の栄養士としての成長物語と並行して描かれるのが、1995年の阪神・淡路大震災です。6歳だった結にとって、この未曾有の災害は人生を大きく揺るがす出来事となりました。今回は、ドラマ「おむすび」における震災描写のこだわりと、主人公の成長に与えた影響について掘り下げていきます。
震災のリアルな描写への挑戦
「おむすび」の制作陣は、震災の描写にあたり、徹底的な取材と綿密な検証を重ねました。制作統括の宇佐川隆史氏は、何十人ものスタッフによる取材や資料の読み込み、幾度もの議論を経て表現に至ったと語っています。
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第5週の演出を担当した松木健祐氏は、被災者の心情を理解することの難しさに向き合い、主演の橋本環奈さんをはじめとするキャストと共に真摯に作品作りに取り組んだといいます。震災後に生まれた橋本さんが、震災を理解しようと努力する姿に、ドラマ制作の意義を感じたと述べています。
時間経過と向き合い方の変化
松木氏が震災描写において最も重視したのは「時間」でした。被災後の心境の変化は人それぞれであり、時間経過とともに変化していく様を丁寧に描くことが重要だと考えたのです。米田家が震災から現在(2004年)までの9年間をどのように過ごしてきたのか、その時間の流れを視聴者に想像させることに重きを置いたといいます。
避難所のリアルな再現
避難所の描写においても、当時の状況を知る人々へのインタビューを徹底的に行いました。学校の先生、市役所職員、地域のリーダーなど、様々な立場の人々から当時の状況を聞き取り、細部までこだわって再現したのです。
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被災直後は、想像していたよりも人々が活発に話していたという証言に驚いたと松木氏は語ります。また、被災者たちは支援を待つだけでなく、自らの力で状況を改善しようと動いていたというエピソードも印象的だったといいます。
冷たいおむすびが象徴するもの
震災当日の夜、配給された冷たいおむすびを結が食べるシーンは、震災の過酷さを象徴する場面の一つです。このシーンは、脚本の根本ノンジ氏が子どもの視点から震災を描きたいという思いから生まれたもので、結の心に深く刻まれる経験として、今後の成長に大きな影響を与えていくことになります。
食を通して未来へ
震災の悲しみ、人々の思いやり、そして力強さを描いた「おむすび」第5週。この経験を経て、栄養士を目指す結の未来はどのように展開していくのでしょうか。今後の物語に注目が集まります。料理研究家の山田花子さん(仮名)は、「食は人の心を癒し、未来へと繋ぐ力を持つ。結が栄養士として人々を支える姿は、震災を乗り越えて力強く生きる人々の希望となるだろう」と語っています。
まとめ
「おむすび」は、震災の悲惨さを描くだけでなく、人々の resilience(回復力)や希望にも焦点を当てた作品です。主人公・結の成長物語を通して、視聴者は震災の記憶を風化させることなく、未来へと繋いでいくことの大切さを改めて感じることでしょう。ぜひ、今後の展開にもご期待ください。