ゼレンスキー大統領、北朝鮮兵のロシア派遣に欧米諸国の対応に不満表明

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアへの北朝鮮兵派遣問題で、欧米諸国の対応の遅さに強い不満を表明しました。緊迫するウクライナ情勢において、北朝鮮の動向が新たな火種となる可能性が懸念されています。

北朝鮮兵派遣の現状とゼレンスキー大統領の批判

ゼレンスキー大統領は11月1日、SNSへの投稿で、ロシア国内に駐留する北朝鮮兵への対応について、米国、英国、ドイツを名指しで批判しました。「見ているだけだ」と欧米諸国の消極的な姿勢を非難し、ウクライナへの軍事支援、特に長射程兵器の供与を求めました。

ゼレンスキー大統領(10月17日)=APゼレンスキー大統領(10月17日)=AP

ゼレンスキー大統領は、「北朝鮮兵の訓練場所をすべて把握しており、機会があれば予防攻撃も可能だ」と強気の姿勢を示しつつも、具体的な行動はパートナー国の支援次第であることを強調しました。

ウクライナ、米韓などは、ロシア国内における北朝鮮兵の存在を確認しており、英国防省も11月1日、「約1万人の北朝鮮兵がロシア国内に駐留している」と発表しました。

北朝鮮兵の実戦能力への疑問

北朝鮮兵のロシア派遣は、ウクライナ情勢に新たな複雑さを加えています。しかし、彼らの実戦能力については疑問の声も上がっています。

英国防省は、北朝鮮兵がロシア軍との間で「言語の壁」などの問題を抱えるのは「ほぼ確実」と指摘。さらに、エストニア軍情報機関トップのアンツ・キビセルグ氏は、エストニアのメディアに対し、北朝鮮兵が派遣された地域の気候や地形に不慣れであることから、「非常に大きな損失が予想される」と分析しています。

専門家の見解

軍事アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「北朝鮮兵の投入は、ロシア軍の兵力不足を補う効果はあるかもしれないが、質の面では疑問符が付く。訓練、装備、そしてロシア軍との連携など、多くの課題を抱えている」と指摘しています。

今後の展望

北朝鮮兵のロシア派遣は、ウクライナ情勢のさらなる悪化を招く可能性があります。国際社会は、この問題にどのように対応していくべきなのか、今後の動向が注目されます。

ゼレンスキー大統領の強い不満表明は、欧米諸国への更なる圧力となるでしょう。ウクライナへの支援強化と、北朝鮮への外交的圧力など、多角的なアプローチが求められています。