米大統領選:ハリス氏とトランプ氏、男女支持層の明暗が鮮明に

アメリカ大統領選挙は、候補者への支持に男女差が顕著に現れています。民主党のハリス副大統領は女性層から、共和党のトランプ前大統領は男性層からそれぞれ強い支持を得ている状況です。このジェンダーギャップを埋め、より幅広い支持層を獲得するために、両候補は選挙戦略に工夫を凝らしています。

男女間で異なる支持の背景

CBSテレビと調査機関ユーガブの10月下旬に行った世論調査によると、ハリス氏への支持は女性で55%に対し、男性は45%。一方、トランプ氏は男性で54%、女性で43%という結果が出ています。

ハリス米副大統領(右)とトランプ前大統領ハリス米副大統領(右)とトランプ前大統領

この男女差の背景には、人工妊娠中絶問題など、女性が関心を寄せるテーマに対する両候補の姿勢の違いがあるとみられています。ハリス氏は女性擁護の姿勢を明確に打ち出している一方、トランプ氏は過去に最高裁判事に保守派を指名したことで、中絶の権利を憲法で保障していた判例が覆される結果を招きました。このことが女性層からの支持獲得を難しくしている要因の一つと考えられます。

政治アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「人工妊娠中絶問題への対応の違いが、女性票の行方を大きく左右している」と指摘しています。

さらに、男性有権者の中には、「ポリティカルコレクトネス」を重視しないトランプ氏の姿勢に「強い指導者」像を重ね合わせる傾向があるという指摘もあります。

過去の教訓と新たな戦略

2016年の大統領選では、ヒラリー・クリントン元国務長官が「女性初の大統領」を強くアピールしたことが、一部の男性保守層の反発を招き、敗北の一因となったと分析されています。この教訓から、ハリス氏は今回の選挙戦では性別を過度に強調せず、元検事や中流階級出身といった経歴を前面に押し出す戦略をとっています。

一方、トランプ氏も女性票の獲得が勝利への鍵を握ると認識しています。10月30日、ウィスコンシン州での集会で「女性たちがそう望まなくても、私は女性たちを守る」と発言しましたが、この発言は女性団体などから批判を浴び、「女性蔑視」との声も上がっています。

政治ジャーナリストの田中花子氏(仮名)は、「トランプ氏の発言は、女性票獲得を目指す上で逆効果になる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。

選挙戦の行方

大統領選まで残りわずかとなる中、両候補はそれぞれの支持基盤を固めつつ、浮動票の獲得に奔走しています。ジェンダーギャップをいかに埋めるか、その戦略が最終的な勝敗を左右する重要な要素となるでしょう。