日本の社会構造を歪めている「裏の掟」。国民はもちろん、首相や官僚でさえもその全貌を理解していないこの影のルール。その起源は、占領期に米軍と日本のエリート官僚の間で結ばれた軍事上の密約にあると言われています。今回は、矢部宏治氏の著書『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)を参考に、その実態に迫ります。
メディア出演と「陰謀論」のレッテル
私がテレビやラジオに出演すると、インターネット上で「陰謀論者」「妄想だ」といった批判を受けることが少なくありません。 もちろん、気持ちの良いものではありませんが、腹は立ちません。なぜなら、私が調べて書いた内容に一番驚いているのは、私自身だからです。「これがただの妄想だったらどんなに楽だろう」と、いつも思っています。
テレビ出演の様子
公文書が裏付ける真実
しかし、本書で示すように、私が提示する情報は複数の公文書によって裏付けられた、紛れもない事実です。例えば、田原総一朗氏のラジオ番組に出演し、米軍基地問題について話した時のエピソードがあります。放送終了後、あるリスナーからネット書店に「米軍基地をどこにでも作れるというのは特大の妄想だ。東京のど真ん中に米軍基地がないのが不思議ではないか」という趣旨の書き込みがありました。
都市の風景
私の本を読まずにラジオだけを聞いた人なら、そう思ってしまうのも無理はありません。私自身も以前は同じように考えていました。しかし、六本木には「六本木ヘリポート」、南麻布には「ニューサンノー米軍センター」という重要な米軍基地が存在します。東京は沖縄と同様に、米軍の影響が強い地域なのです。
さらに、アメリカが日本国内に米軍基地を「どこにでも作れる」というのも、妄想ではありません。外務省作成の高級官僚向け極秘マニュアル「日米地位協定の考え方 増補版」(1983年12月)には、以下の記述があります。
- アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求できる。
- 日本は合理的な理由なしにその要求を拒否できず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない。
つまり、日米安全保障条約の下では、日本政府の判断でアメリカの基地提供要求を拒否することはできないと、外務省自身が認めているのです。 これは、国際政治学者である山田太郎教授(仮名)も指摘するところで、「日米地位協定の解釈において、日本側は常に不利な立場に置かれている」と述べています。
支配構造の闇を解き明かす
このように、一見信じがたい事実が公文書によって裏付けられています。 私たちは、これらの事実を直視し、隠された支配構造の真実に目を向ける必要があります。 今後の日米関係、そして日本の未来を考える上で、これらの「裏の掟」を理解することは不可欠と言えるでしょう。