ドイツ連立政権崩壊の危機!?ショルツ首相、経済低迷で窮地に

ショルツ首相率いるドイツ連立政権が、経済低迷と2025年予算案を巡る対立激化により、崩壊の危機に瀕しています。来春には総選挙が前倒しされる可能性も囁かれる中、EUの屋台骨を支えるドイツの政局不安は、国際社会に大きな波紋を広げています。

ドイツ連立政権、内部対立が深刻化

10月29日、ショルツ首相が主催した「産業サミット」に、連立を組む緑の党と自由民主党(FDP)の経済閣僚が招かれなかったことが、政権内の亀裂を露呈させました。緑の党のハーベック経済・気候保護相は、直前に独自の産業再生プランを発表し、環境産業への補助金を訴えていました。FDPのリントナー財務相も首相に対抗し、独自に企業経営者との会合を開催。両閣僚からは、首相からの事前の相談が全くなかったことが暴露され、政権内の不協和音が浮き彫りとなりました。

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経済政策の温度差、再び

もともと連立政権内では、経済政策に対するスタンスの違いが存在していました。社会民主党(SPD)と緑の党は景気刺激策や環境政策のための財政支出に積極的な一方、FDPは財政規律を重視しています。7月には25年予算案で基本合意に至りましたが、経済低迷の長期化と支持率の低下を受け、再び対立が再燃しました。

自動車産業の不振が追い打ち

ドイツ経済の屋台骨である自動車産業、特に最大手のフォルクスワーゲン(VW)の不振が、政局の混乱に拍車をかけています。VWは国内工場の閉鎖や賃金引き下げを検討しており、労働組合の反発を招いています。SPDは雇用維持を重視する姿勢を強め、緑の党との距離がさらに広がっています。FDPのリントナー財務相はメディアに対し、連立政権は「今秋の決断」を迫られていると発言。FDPの連立離脱の可能性を示唆し、政局の緊迫感を高めました。

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来春、総選挙前倒しの可能性も

複数のメディアは、来年3月9日に総選挙が前倒し実施される可能性を報じています。本来は来年9月に予定されている総選挙が、半年前倒しされるという見方です。11月中旬の連邦議会予算委員会での3党合意の成否が、今後の政局を占う試金石となります。10月末の世論調査では、政権支持率は14%に低下し、54%が前倒し総選挙を支持しています。

ドイツ政局の行方、EUの未来を左右

EU経済の牽引役であるドイツの政局不安は、EU全体の政治・経済に大きな影響を及ぼします。ウクライナ支援でも米国に次ぐ規模で貢献しているドイツの動向は、EUの未来を左右すると言っても過言ではありません。今後のドイツ政局の推移から目が離せません。