ロシアのクルスク州で撮影されたドローン映像が物議を醸しています。映像には、ロシア軍の装甲車が歩兵を降ろしたまま撤退する様子が捉えられており、置き去りにされた歩兵は北朝鮮兵ではないかとの憶測が飛び交っています。この緊迫の映像は、ロシアと北朝鮮の軍事協力に疑問を投げかけるものとなっています。
ドローン映像が映し出した衝撃の光景
ウクライナ軍が公開したドローン映像は、10月30日にクルスク州カリノフ村南方4キロで撮影されたとされています。映像には、ロシア軍のBTR82装甲車3両が樹林帯に接近し、機関砲で射撃を加えながら歩兵を降車させる様子が映っています。しかし、降車した歩兵は戦闘隊形も取れず、装甲車の周囲で右往左往している様子が確認できます。そして、驚くべきことに、装甲車は歩兵を残したまま反転し、撤退していきます。
alt ロシア軍の装甲車が歩兵を置き去りにして撤退する様子を捉えたドローン映像の静止画
置き去りにされた兵士は北朝鮮兵か?
この映像を見た専門家の間では、置き去りにされた歩兵は北朝鮮から派遣された兵士ではないかという見方が強まっています。自由アジア放送(RFA)の報道によると、自主国防ネットワークのイ・イルウ事務局長は「装甲車を運転するロシア軍と搭乗していた北朝鮮兵との間で意思疎通ができていなかったことが原因だろう」と分析しています。
北朝鮮兵の訓練不足が露呈?
イ・イルウ事務局長はさらに、「北朝鮮兵の大部分は純粋な歩兵出身で、車両化歩兵の戦術に慣れていない」と指摘しています。ロシア軍のように車両や装甲車を活用した戦闘は、北朝鮮兵にとって異質なものなのでしょう。十分な教育訓練を受けていれば、車両化歩兵としての役割を果たせた可能性もありますが、実戦投入前に適切な訓練が実施されていなかった可能性が示唆されています。
「弾よけ」としての役割か? 犠牲を強いられる北朝鮮兵
リトアニアの民間団体「Blue/Yellow」によると、北朝鮮兵は10月25日にクルスク州でウクライナ軍と初めて交戦し、1人を除いて全員が戦死したと報告されています。生き残った北朝鮮兵は、自分はブリヤート自治共和国出身だと偽っていたとのことです。このことから、北朝鮮は当初から北朝鮮兵をロシア系少数民族に偽装して派遣していた可能性が浮上しています。北朝鮮兵は、最前線に投入され、「弾よけ」としての役割を担わされている可能性も懸念されています。
alt ロシアのクルスク州で撮影されたとされる北朝鮮兵
ロシアと北朝鮮の軍事協力の行方
今回のドローン映像は、ロシアと北朝鮮の軍事協力における課題を浮き彫りにしました。意思疎通の不足や訓練の不備は、今後の戦況に大きな影響を与える可能性があります。北朝鮮兵の処遇や今後の軍事協力の行方について、国際社会の注目が集まっています。