ナイキの業績不振が話題となっています。かつてスポーツシューズ界の王者として君臨していたナイキですが、2025年5月期第1四半期の決算では売上高が前年同期比10%減、純利益は28%減という厳しい結果に。CEOの退任や通期業績見通しの撤回など、波紋が広がっています。本記事では、ナイキの業績不振の要因を分析し、今後の戦略について考察します。
ナイキD2C戦略の功罪
2017年以降、ナイキは小売店への卸売を減らし、D2C(Direct to Consumer)戦略を強化してきました。自社ECサイトや直営店での販売に注力することで、ブランドイメージの構築や顧客データの獲得を目指したのです。
コロナ禍における非接触型消費の拡大も追い風となり、当初はこの戦略は高く評価されていました。しかし、他社製品との比較検討が難しいECサイトや直営店だけでは、新規顧客の獲得や購買意欲の喚起に限界があったと言えるでしょう。
ナイキのシューズ
コアファンと一般消費者のギャップ
ナイキには熱狂的なファンが多く、D2C戦略自体は必ずしも誤りではありませんでした。しかし、D2Cに偏重しすぎた結果、一般消費者のニーズを捉えきれなかった点が課題として浮き彫りになりました。
小売店での販売を軽視したことで、様々なブランドを比較検討したい消費者層へのリーチが不足し、購買機会の損失につながったと考えられます。 流通戦略の専門家である山田一郎氏(仮名)は、「消費者の購買行動を深く理解し、適切なチャネルを選択することが重要」と指摘しています。
消費者のためのD4Cとは?
ナイキに欠けていたのは、D4C(Direct for Consumer)、つまり「消費者のため」という視点です。デジタル化を成功させるには、顧客中心主義に基づいた戦略が不可欠です。
ユニクロのオムニチャネル戦略
ユニクロは、オンラインとオフラインを融合させたオムニチャネル戦略で成功を収めています。実店舗とECサイトをシームレスに連携させることで、顧客体験の向上と購買機会の最大化を実現しているのです。
ECサイトで注文した商品を実店舗で受け取ったり、実店舗の在庫状況をオンラインで確認できるなど、顧客の利便性を追求したサービスが大きな支持を集めています。
ナイキの今後の展望
ナイキは、D2C戦略のみに固執するのではなく、消費者のニーズに合わせた柔軟な販売戦略を展開していく必要があります。卸売とのバランスを見直し、オムニチャネル戦略を導入することで、更なる成長を目指せるのではないでしょうか。
ナイキのロゴ
消費者の購買行動は常に変化しています。企業は、顧客の声に耳を傾け、時代に合わせて進化していくことが求められています。ナイキの今後の動向に注目が集まります。