2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は4月13日に開幕し、早くも会期は後半へと向かっています。万博会場へのアクセス手段を検討する上で、多くの来場者が直面するのが「予約」というキーワードです。パビリオン入場はもちろん、公共交通機関を利用する際にも事前の予約が求められるケースが多く、「予約に振り回される万博」という側面があるのも事実です。
このような状況の中、あえて「非予約制」を掲げて万博会場へのアクセス手段を提供するバス会社があります。兵庫県姫路市に本社を置く神姫バスです。本稿では、予約が当たり前となった万博アクセスにおいて、異色の存在感を放つ神姫バスの直行バスサービス「EXPO号」の実態に迫ります。
万博会場への直行バス事情
関西圏から大阪・関西万博の夢洲会場へ向かう直行バスは、大きく分けて二つのカテゴリーがあります。一つはJRゆめ咲線桜島駅、大阪駅、新大阪駅、大阪上本町駅、なんば駅など、主要駅から出発する主要駅シャトルバスです。これらの多く、特に桜島駅発着便を除く便では、事前の予約が必須となっています。予約は、関西の主要鉄道会社が連携して提供するアプリ「KANSAI MaaS」を通じて行われるのが一般的です。阪急バス、西日本ジェイアールバス、近鉄バスといった鉄道系バス会社が主に運行を担っており、使用される車両も路線バスタイプから高速バスタイプまで多岐にわたります。一部ルートでは自動運転バスの実証運行も行われています。
もう一つは、京都駅(京阪バス)、奈良駅・大和八木駅(奈良交通)など、主に大阪府外の広域主要駅から出発する中長距離バスです。神姫バスが運行する便も、この中長距離バスに含まれます。主要駅シャトルバス、中長距離直行バスのいずれも、万博会場の西ゲート前に設けられたバスターミナルに到着・出発します。
予約不要で挑戦する神姫バス「EXPO号」
神姫バスは、大阪・関西万博の開催期間中である2025年4月13日から10月13日まで、万博会場(夢洲)行きの直行バス「EXPO号」を運行しています。EXPO号には、神戸空港・神戸三宮と万博会場を結ぶエキスポ神戸号、姫路・加古川とUSJ・万博会場を結ぶエキスポ姫路号、そしてゆりのき台4丁目とUSJ・万博会場を結ぶエキスポ三田号の3つのルートが存在します。このうち、エキスポ神戸号とエキスポ姫路号は万博会期中、毎日運行されています。
特筆すべきは、これらのEXPO号が万博直行バスとしては珍しく、予約不要の定員制(自由席)高速バスである点です。これはつまり、事前のオンライン予約などは必要なく、利用者は乗車地のバス停やバスターミナルで列に並び、先着順で乗車できるシステムです。早朝の神戸三宮バスターミナルから乗車した筆者は、7時前にバスが満席で発車し、7時30分過ぎには西ゲート前バスターミナルに到着した様子を伝えています。その早さに驚きを示唆する記述もあります。
大阪・関西万博会場の西ゲート前バスターミナルに到着した神姫バス「エキスポ神戸号」。早朝から多くの利用者がいる様子を示唆。
万博会場へのアクセスにおいて予約の手間を省きたい利用者や、急な来場を計画している利用者にとって、神姫バスのEXPO号は有力な選択肢となり得ます。一方で、定員制ゆえに満席の場合は乗車できない可能性もあるため、特に週末や祝日など混雑が予想される日は、時間に余裕を持ってバス停に向かうか、早朝便を利用するなどの対策が必要になるでしょう。
まとめ
大阪・関西万博への交通手段が全体的に予約制へとシフトする中で、神姫バスの「EXPO号」は予約不要という独自の戦略で挑戦しています。主要駅シャトルバスや他社の中長距離バスがKANSAI MaaSなどを通じた事前予約を基本とする中、乗車を希望する時間にバス停に並べば良いという手軽さは、一定のニーズに応えるものと言えます。この非予約制バスが、万博来場者の多様なニーズにいかに応えていくか、今後の動向が注目されます。
参照元
https://news.yahoo.co.jp/articles/fc20d9b3bee9bcd1b55b60fbd082202e7b8d3196