北朝鮮、水害復興の裏で突貫工事?威化島で大規模アパート建設の現状

北朝鮮北西部は7月末の集中豪雨で甚大な被害を受けましたが、その復興 efforts の一環として、鴨緑江下流域、特に威化島で大規模なアパート建設が進められています。しかし、その現場からは安全面での懸念や、労働者たちの過酷な状況が浮き彫りになっています。アジアプレスが入手した中国側からの写真と、北朝鮮内部からの情報に基づき、その実態を詳しく見ていきましょう。

集中豪雨後の復興と建設ラッシュ

7月末の豪雨では、鴨緑江流域を中心に死者・行方不明者が多数発生し、家屋や農地、インフラにも甚大な被害が出ました。その復興活動の一環として、被災地の住宅供給を目的としたアパート建設が急速に進められています。特に鴨緑江に浮かぶ威化島では、数十棟規模のアパート群が同時進行で建設されている様子が確認されています。

鴨緑江岸に山積みされた建設資材。砂利やブロック、排水管などが確認できる。鴨緑江岸に山積みされた建設資材。砂利やブロック、排水管などが確認できる。

鴨緑江の河岸には、建設に必要な砂利、ブロック、排水管などが大量に積まれ、トラックなどで各現場へと運搬されている様子が伺えます。北朝鮮政府は、この建設ラッシュによって被災者の住居問題を早期に解決しようと躍起になっていると考えられます。

突貫工事?安全性が懸念される建設現場

しかし、その建設現場の状況は、安全面で大きな懸念を抱かせるものです。アジアプレスが入手した写真からは、高層階の足場が不安定な状態で、多くの作業員が密集して作業している様子が見て取れます。ヘルメットを着用している人もいますが、命綱などの安全装置は確認できず、事故発生のリスクが非常に高いと言わざるを得ません。

建設中のアパート群。15階建ての建物も確認できる。建設中のアパート群。15階建ての建物も確認できる。

15階建ての高層アパートの最上階では、100人近い作業員が密集して作業している様子も確認されています。専門家の意見を伺ったところ、「このような高所作業で安全対策が不十分な状態は極めて危険であり、重大な事故につながる可能性が非常に高い」との指摘がありました。

クレーンでセメントを吊り下げながら作業する人々。安全対策の不備が目立つ。クレーンでセメントを吊り下げながら作業する人々。安全対策の不備が目立つ。

軍人、突撃隊、そして女性も…過酷な労働環境

これらの建設現場には、軍人、突撃隊(国家的な建設プロジェクトに動員される労働部隊)、青年同盟員など、様々な人々が動員されています。また、女性の姿も少なくなく、男性と同様に高所作業や力仕事に従事している様子が確認されています。

高所作業に従事する女性の姿も。安全装備は不十分で、過酷な労働環境が伺える。高所作業に従事する女性の姿も。安全装備は不十分で、過酷な労働環境が伺える。

さらに、国境警備隊が「検閲官」の腕章を付けて現場を監視している様子も確認されており、作業員たちが中国との国境に近づくことを厳しく制限していることが伺えます。休憩中の作業員たちの表情からは、過酷な労働環境による疲労の色が見て取れます。

国境警備隊が建設現場を監視。作業員が中国国境に近づかないよう目を光らせている。国境警備隊が建設現場を監視。作業員が中国国境に近づかないよう目を光らせている。

白頭山英雄青年突撃隊の関与

現場には「白頭山英雄青年突撃隊」の看板が掲げられた小屋もあり、彼らが建設作業に深く関わっていることが示唆されています。この突撃隊は、北朝鮮の若者たちによって構成され、国家的な重要プロジェクトに動員されることが多いと known です。

「衛生確認」の看板が掲げられた小屋。白頭山英雄青年突撃隊の文字が確認できる。「衛生確認」の看板が掲げられた小屋。白頭山英雄青年突撃隊の文字が確認できる。

水害からの復興という名目のもと、威化島では大規模なアパート建設が突貫工事で進められています。しかし、その背後には、安全を軽視した労働環境や、人々の疲弊した姿が隠されていると言えるでしょう。今後の北朝鮮の復興 efforts には、人々の安全と well-being を最優先した取り組みが求められます。