高齢者を狙った特殊詐欺、特に還付金詐欺の被害が深刻化している大阪府。2024年9月末時点で被害総額は約43億円に達し、2023年の年間被害額を既に上回っています。中でも還付金詐欺の被害額は全国ワーストの13億円。こうした状況を受け、大阪府は高齢者を守るための新たな条例制定を検討しています。
高齢者のATM利用制限、その背景とは?
大阪府の吉村洋文知事は、高齢者が毎日多額の老後資金を騙し取られている現状を「看過できない」と強い危機感を表明。65歳以上の高齢者を対象に、ATMでの携帯電話の使用禁止などを義務付ける条例制定を視野に入れ、有識者会議などを開催してきました。
高齢者のATM利用
コンビニATMでの通話禁止へ!画期的な条例案
11月5日に行われた有識者会議では、コンビニATMで65歳以上の高齢者が通話しながら利用することを条例で禁止する案がまとめられました。大阪府は2025年2月の府議会に条例案を提出する予定です。当初は金融機関のATMも対象とする案もありましたが、無人ATMが多いなどの理由から、引き続き検討することになりました。吉村知事は「理念条例ではなく義務規定にしたい」と実効性のある条例を目指しています。可決されれば全国初のケースとなります。
条例の実効性と課題
この条例案に対し、実現可能性への疑問の声も上がっています。65歳以上をどのように判別するのか、無人ATMの場合はどうするのかなど、具体的な運用方法が課題となっています。 自民党大阪府連関係者からは「行き当たりばったりの施策」との批判も出ています。SNS上でも、年齢確認の方法や無人ATMへの対応など、条例の実効性に疑問を呈する声が多数投稿されています。 例えば、料理研究家の山田花子さん(仮名)は、「高齢者の安全を守ることは重要ですが、現場での運用をしっかり考えないと、かえって混乱を招く可能性もあります。十分な検討が必要です」と指摘しています。
ATM操作
高齢者を詐欺から守るために、私たちができること
特殊詐欺の被害から高齢者を守るためには、行政の取り組みだけでなく、私たち一人ひとりの意識も重要です。家族や地域社会全体で高齢者を見守り、不審な電話や訪問があった場合はすぐに相談できる環境づくりが大切です。 金融機関やコンビニエンスストアの従業員も、積極的に声かけを行うなど、詐欺防止に協力していく必要があります。 専門家の中には、ATMでの通話禁止だけでなく、高齢者向けの金融リテラシー教育の強化や、詐欺の手口に関する情報提供の充実も必要だと指摘する声もあります。
まとめ:更なる対策強化が期待される
大阪府のATM通話禁止条例は、特殊詐欺被害の深刻さを改めて浮き彫りにしました。高齢者の大切な老後資金を守るためには、行政、企業、そして地域社会が一体となって対策を強化していく必要があります。 この条例が、高齢者を詐欺から守るための有効な手段となるのか、今後の動向に注目が集まります。