ヤマトホールディングス(ヤマトHD)は2024年11月5日、2025年3月期の連結業績予想を下方修正しました。個人消費の低迷を受け、荷物の取扱量が想定を下回ったこと、そして人件費や委託単価の上昇、積載効率の低下などによるコスト増加が響いた形です。この記事では、下方修正の背景や今後の展望について詳しく解説します。
予想を下回る荷物取扱量とコスト増加が業績悪化の要因
2024年4月から9月期の連結決算は、営業損益が150億円の赤字(前年同期は123億円の黒字)、純損益は111億円の赤字(同53億円の黒字)と、大幅な減収減益となりました。 個人消費の低迷が主な原因で、eコマース市場の伸び鈍化も影響していると考えられます。
ヤマト運輸のトラック
また、ドライバー不足への対応として時給や委託単価を引き上げたこと、そして燃料価格の高騰もコスト増加に拍車をかけています。さらに、荷物取扱量の減少による積載効率の低下も利益を圧迫する要因となっています。物流業界全体が厳しい状況に直面する中、ヤマトHDもその影響を大きく受けていることが明らかになりました。
2025年3月期業績予想を下方修正、500億円規模の自社株買いも発表
2025年3月期の連結業績予想は、売上高にあたる営業収益を前期比1.6%減の1兆7300億円(従来予想は1兆7800億円)、営業利益を同75.0%減の100億円(同500億円)、純利益を同86.7%減の50億円(同320億円)へと下方修正しました。
グラフ
アナリスト12人のコンセンサス予想(IBES調べ)では、営業利益の平均値は484億円とされており、今回の下方修正は市場の予想を大きく下回る結果となりました。
一方、ヤマトHDは、発行済み株式数の11.36%に当たる3900万株・500億円を上限とする自社株買いも発表しました。株主還元を強化することで、株価の下落に歯止めをかけたい考えと見られます。
今後の課題と展望
ヤマトHDは、今回の業績悪化を受け、構造改革を加速させる方針です。コスト削減や業務効率化を図るとともに、デジタル技術を活用した新たなサービスの開発にも力を入れていくとしています。
荷物の再配達削減に向けた取り組みや、運賃の適正化など、抜本的な改革が必要となるでしょう。また、EC市場の動向や消費者のニーズ変化にも柔軟に対応していくことが求められます。 今後のヤマトHDの業績回復に向けた取り組みが注目されます。
まとめ
ヤマトHDの2025年3月期業績予想下方修正と自社株買いについて解説しました。個人消費の低迷やコスト増加が業績悪化の要因となっており、今後の構造改革の進展が鍵となります。ヤマトHDの今後の動向に注目が集まります。