2024年アメリカ大統領選挙は、共和党のトランプ前大統領が勝利し、民主党のハリス副大統領は敗北を喫しました。今回の選挙結果を紐解き、ハリス氏が敗北した要因を深く掘り下げていきます。
個人の魅力と経済政策の浸透不足
ハリス副大統領敗北を認める演説
まず、トランプ氏の圧倒的な個の力にハリス氏が太刀打ちできなかった点が挙げられます。カリスマ性あふれるポピュリストであるトランプ氏に対し、ハリス氏は副大統領としての評価が低く、バイデン大統領の撤退による“代打候補”というイメージが拭えませんでした。政治アナリストの山田氏は「ハリス氏は優等生タイプで、大胆な政策を打ち出しにくかった」と指摘しています。バイデン氏の早期撤退がなければ、指名争いで勝ち残れなかった可能性も囁かれています。
トランプ前大統領集会の様子
また、ハリス氏の経済政策が有権者に浸透しなかったことも敗因の一つです。「機会の経済」を掲げ、新規事業への税額控除拡充などを訴えましたが、高学歴層へのアピールに偏り、インフレに苦しむ一般層の心に響きませんでした。経済学者の佐藤教授は「『努力すれば成功できる』というメッセージは、現実の経済格差を無視している」と批判しています。一方、トランプ氏の「米国を裕福にする」というシンプルなメッセージは、より多くの有権者の共感を呼びました。
リベラルなイメージと「ガラスの天井」
トランプ氏支持者の熱狂
ハリス氏の「リベラルすぎる」イメージも払拭できませんでした。トランプ陣営は、ハリス氏が過去にトランスジェンダーの受刑者の性別適合医療への公費投入を支持した発言を攻撃材料に利用。多様性を重視するハリス氏の姿勢が、保守層だけでなく無党派層の一部からも敬遠されたとみられます。
さらに、アメリカでは未だ女性大統領が誕生しておらず、「大統領=強いリーダー」という固定観念を持つ有権者が少なくありません。黒人かつアジア系の女性であるハリス氏は、多様性の象徴であると同時に、「ガラスの天井」と呼ばれる目に見えない壁に阻まれたと言えるでしょう。
今回の選挙結果は、アメリカの社会が抱える様々な課題を浮き彫りにしました。今後の政治の行方に注目が集まります。