アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ前大統領が再選を果たしたことを受け、アメリカ国民の間で海外移住への関心が急上昇しています。今回の選挙結果が、多くのアメリカ国民の将来への不安を掻き立て、新たな生活の場を求める動きにつながっているようです。
選挙結果を受け、移住関連検索が爆発的に増加
トランプ氏の勝利が確定した直後から、海外移住に関する情報検索が急増しました。Googleのデータによると、「カナダへの移住」の検索は1270%、「ニュージーランドへの移住」は約2000%、「オーストラリアへの移住」は820%も増加したとのことです。特にアメリカ東海岸では、これらの国々への移住関連検索が過去最高を記録しました。
alt
ニュージーランド移民局のウェブサイトへのアクセス数も激増し、7日にはアメリカからのアクセスが前年同日の約17倍となる約2万5000件に達しました。これは、移住への関心の高まりを明確に示すデータと言えるでしょう。
移民弁護士事務所にも問い合わせ殺到
移民希望者の増加に伴い、移民弁護士事務所への問い合わせも殺到しています。カナダの老舗移民法律事務所グリーン・アンド・スピーゲルのマネジングパートナー、エバン・グリーン氏は、「30分おきに新しい問い合わせメールが届いている」と現状を語っています。
2016年の大統領選時にも同様の現象
実は、トランプ氏が初めて大統領に当選した2016年にも、同様の海外移住ブームが起きました。しかし、今回の選挙戦では国内の分断がさらに深刻化しており、移住への関心も当時を上回る勢いを見せています。
アメリカ社会の分断が移住希望の背景に
エジソン・リサーチの出口調査によると、有権者の約4分の3がアメリカの民主主義が脅かされていると回答しています。トランプ氏の再選により、人種、ジェンダー、教育、生殖に関する権利など、様々な社会問題をめぐる分断がさらに深まることが懸念されています。
グリーン氏は、「トランプ氏の再選が引き金になっていることは明らかですが、これは社会的な問題でもあります。アメリカ人の半数以上がトランプ氏に投票する一方で、一部の人々はそのような社会では生きていけないと感じているのです。人々は自由が失われることを恐れています」と分析しています。
バンクーバーの法律事務所ベル・アライアンスで移民コンサルタントを務めるヘザー・ベル氏も、選挙前からトランプ氏が再選された場合の米国の将来や個人の安全に対する不安の声が高まっていたと指摘しています。
カナダへの移住は容易ではない現実
しかし、カナダ政府は移民の受け入れを減らしているため、カナダへの移住は容易ではありません。実際に移住を実現できる人はごくわずかだというのが現状です。希望する移住先への道のりは険しいものとなる可能性があります。
移住希望の増加はアメリカ社会の不安を反映
今回の大統領選の結果を受け、アメリカ国民の間で海外移住への関心が急増していることは、アメリカ社会の深い分断と将来への不安を反映していると言えるでしょう。今後の動向に注目が集まります。