愛知県内の河川で深刻化する船の不法係留問題。まるで港のように河川を埋め尽くす放置船は、景観を損なうだけでなく、火災や津波発生時の二次災害の危険性を孕んでいます。jp24h.comでは、その実態と対策の難しさ、そして私たち市民にできることを探ります。
不法係留船が引き起こす様々なリスク
不法係留された船
2024年8月、刈谷市の船舶関連会社敷地で発生した火災では、不法係留されていた約50隻の船が焼失しました。この事件は、不法係留船が火災の危険性を高めることを改めて示しました。また、河川を塞ぐように係留された船は、洪水や津波時に住宅街へ流れ出し、家屋に甚大な被害をもたらす可能性があります。「河川管理におけるリスクマネジメント」の著者、水上健太郎氏も警鐘を鳴らしています。「不法係留船は、河川の機能を阻害し、災害時のリスクを飛躍的に高めます。早急な対策が必要です。」
蟹江川と日光川:放置船の無法地帯
蟹江川に不法係留された船
あま市と蟹江町を流れる蟹江川では、約40隻もの船が不法に係留されています。係留禁止の看板が設置されているにも関わらず、まるで港のような光景が広がっています。さらに、日光川でも約70隻もの放置船が確認され、中には沈没船も。沈没船からは油が漏れ出し、水質汚染を引き起こす恐れも。これらの河川は、まさに不法係留の「無法地帯」と化しています。
所有者不明の放置船:撤去費用と所有者への指導の難しさ
刈谷市の火災現場
愛知県は、所有者不明で油流出の危険性が高い船を優先的に撤去していますが、1隻あたり100万円前後の費用がかかります。また、所有者が判明している場合でも、移動指導に応じる所有者は少ないのが現状です。「船舶の所有者責任と河川管理」を専門とする河野美紀子教授は、「所有者意識の欠如が問題の根底にあります。罰則強化など、より実効性のある対策が必要です」と指摘しています。
河川環境を守るために:私たちにできること
不法係留船問題は、行政だけの努力では解決できません。私たち市民一人ひとりが問題意識を持ち、河川環境を守るためにできることを考え、行動していく必要があります。例えば、不法係留船を見かけた際は、管轄の行政機関に通報する、地域住民と協力して啓発活動を行うなど、できることから始めてみませんか。美しい河川を未来に残すために、共に考え、行動していきましょう。