中国出国禁止措置の急増:スパイ容疑だけじゃない、ビジネスマンも要注意!

中国への渡航、特にビジネス目的での渡航には、予期せぬリスクが潜んでいることをご存知でしょうか?近年、中国の出国禁止措置を受ける外国人が急増しており、スパイ行為だけでなく、ビジネス上のトラブルもその原因となっています。この記事では、中国の出国禁止措置の実態と、その背後にある複雑な事情を詳しく解説します。

外国人記者への圧力から始まった出国禁止措置

中国の出国禁止措置は、当初は外国メディアへの圧力として始まりました。2018年、オーストラリアABCニュースの記者マシュー・カーニー氏は「中国の法律違反」を理由にビザ発給を停止され、10代の娘と共に強制的に反省文のビデオ撮影をさせられました。その後、中国とオーストラリアの外交関係が悪化すると、オーストラリア国籍の記者2人が出国を制限される事態も発生しました。

北京の外国人観光客北京の外国人観光客

当時、在中国外国記者協会は公開状で「大いなる懸念」を表明しましたが、現在ではこの問題は外国人全体に広がり、長期にわたる出国禁止事例が多発しています。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理のマヤ・ワン氏は「中国当局は出国禁止を人質司法として利用している」と指摘しています。

ビジネス上のトラブルで4年間も足止め…

米国のある人権団体の調査によると、少なくとも100人前後の米国人が出国禁止の対象になっているとされています。中でも、ビジネス目的で中国に渡航した人が、取引先とのトラブルをきっかけに出国禁止になるケースが増えています。

ロサンゼルスのビジネスマンの例では、中国企業との取引でトラブルが発生し、身に覚えのない高額な損害賠償を請求され、4年間も中国に足止めされています。彼は行動の自由はありますが、常に監視下に置かれ、家族との連絡も制限されています。このような事例は氷山の一角であり、多くの外国人が同様の苦境に直面している可能性があります。

中国の公安関係者中国の公安関係者

中国渡航のリスク、各国政府が警告を発令

出国禁止措置の背景には、中国政府、警察、公安、出入国管理局、企業が連携している可能性が指摘されています。2014年に施行された「反スパイ法」、そして2023年7月に改正された同法により、スパイ行為の定義が拡大され、罰則も強化されました。また、2018年以降、「国家監察法」など少なくとも5本の法律が成立し、出国禁止措置に関する関連法規も15項目に上っています。

米国務省は2020年10月、「観光目的であっても中国へ渡航する場合、出国制限のリスクがある」と警告し、「できれば中国へ行かないように」と注意喚起しました。カナダ、オーストラリア、英国、日本などの各国政府も同様の警告を発しています。中国への渡航を検討している方は、これらのリスクを十分に理解し、必要な対策を講じる必要があります。特にビジネスマンは、契約内容の綿密な確認、法的助言の取得など、慎重な行動が求められます。

中国の法制度やビジネス慣習は複雑で、予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。渡航前に最新の情報を入手し、リスク管理を徹底することが重要です。