レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員らが所有するポケベルが9月中旬に一斉に爆発して計3000人以上が死傷した事件で、イスラエルのネタニヤフ首相は10日、自身がこの作戦にゴーサインを出したことを認めた。AFP通信がネタニヤフ氏の報道官の話として伝えた。ポケベルの一斉爆発は当時からイスラエルによる工作が疑われていたが、公式に認めたのは初めて。
一方、台湾の捜査当局は11日、調査の結果、爆発したポケベルは台湾で製造されたものではなかったと発表した。実際に製造したのは、イスラエルのフロント企業だったとされ、少なくとも数年がかりで準備していたとみられている。
ヒズボラは昨年10月にパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘が始まってから、イスラエル北部などに砲撃を続けている。こうした中、今年9月17、18日にヒズボラが配備していたポケベルや無線機がレバノン各地で一斉に爆発した。イスラエルがあらかじめ工作を施した機器をヒズボラがメンバーに配布するよう仕向け、遠隔で爆発させたとみられていたが、イスラエル政府はこれまで関与については肯定も否定もしていなかった。
イスラエル軍はポケベルなどの通信機器の一斉爆発を機に、ヒズボラに対する攻勢を強化。9月下旬にはレバノンの首都ベイルートを空爆し、ヒズボラを長年率いてきた最高指導者ナスララ師を殺害したうえ、地上侵攻にも踏み切った。レバノンでは連日、地上戦や空爆が続いており、昨年10月以降、すでに3100人以上が死亡している。【カイロ金子淳】