アメリカ大統領選後、若い女性たちの間で「4B」というキーワードが急速に注目を集めています。一体4Bとは何なのか、その背景や影響について詳しく解説します。
4B運動:韓国発、アメリカへ
4Bとは、「非婚(비혼、bihon)」「非出産(비출산、bichulsan)」「非恋愛(비연애、biyeonae)」「非セックス(비섹스、biseks)」の4つの「非(비、bi)」を意味する韓国語の頭文字から取った言葉です。韓国で生まれたこのフェミニスト運動は、男性中心社会への抵抗として、結婚、出産、恋愛、セックスを拒否することを提唱しています。
alt国際女性デーの集会で掲げられたフェミニストの旗。韓国・ソウルにて。
アメリカでの広がり:トランプ再選を機に
アメリカでは、トランプ前大統領の再選が明らかになった直後から、この4B運動への関心が急上昇しました。TikTokやInstagramなどのSNSを通じて、若い女性たちがこの運動について活発に議論を交わしています。
背景には、トランプ前大統領への反発があります。性的虐待疑惑や中絶権を覆す最高裁判事の任命など、女性に対する抑圧的な政策に、多くの女性たちが怒りと失望を感じています。そして、その抗議の意思表示として4B運動に共感する女性が増えているのです。
4B運動への賛否両論
ミズーリ州に住むアシュリ・ポラードさん(36)は、「私たちは男性に合わせ、彼らの安全を願い、やるべきことをすべてやったのに、彼らは依然として私たちを憎んでいる。だから、もしあなたがたが私たちを憎むつもりなら、私たちは私たちが望むことをするつもりだ」と語っています。
一方で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のジュヒ・ジュディー・ハン准教授は、4B運動はジェンダーの二項対立に依存しすぎていると指摘しています。また、多くの女性もトランプ氏に投票したという事実を見落としていると批判的な見方を示しています。
4B運動の今後
4B運動がアメリカで主流となるかはまだ分かりません。しかし、少なくともオンライン上では、若い女性たちの間で大きな議論を巻き起こしていることは確かです。
既に結婚している女性やパートナーがいる女性の中には、男性が経営する企業の不買運動や、男性に対する感情労働の拒否など、別の方法で抗議する動きも出ています。
4B運動への参加表明をしたフロリダ州在住のアビー・Kさん(27)は、自身の体験をSNSに投稿したところ、殺害予告や容姿に対する誹謗中傷が殺到したと報告しています。この出来事は、4B運動に対する強い反発を示すと同時に、女性たちが抱える問題の深刻さを浮き彫りにしています。
ハン准教授は、アメリカの4B運動への関心は一時的なものになると予測しています。しかし、この運動をめぐる議論が、女性たちが自身の置かれている状況について改めて考え、世界中の人々と連帯感を築くきっかけになることを期待しています。
4B運動:新たなフェミニズムの形?
4B運動は、従来のフェミニズムとは異なるアプローチで、現代社会の女性たちが直面する課題を提起しています。結婚、出産、恋愛、セックスといった、従来女性に期待されてきた役割を拒否することで、真の自由と平等を追求しようとする姿勢は、多くの共感を呼んでいます。
4B運動は、女性たちが自分らしく生きるための選択肢を広げ、社会の固定観念に囚われない生き方を模索する、新たなフェミニズムの形と言えるかもしれません.