未婚化・晩婚化が進んでいる日本。その背景には、経済的な不安を抱える若者の存在が大きく影響しています。結婚や子育てに希望を持てない若者たちのリアルな現状に迫ります。
経済格差と未婚率の密接な関係
非正規雇用や低年収層において、未婚率が高い傾向が見られます。30代前半の男性を例に挙げると、正規雇用者の既婚率は約6割である一方、非正規雇用者では約2割にとどまります。年収500~599万円の男性の既婚率は7割を超えるのに対し、年収200~299万円では4割弱です。経済的な安定が、結婚の大きな壁となっていることが浮き彫りになっています。
若者の結婚観
結婚意欲の低下:「希望格差」の深刻化
中央大学の山田昌弘教授が提唱する「希望格差」という言葉が示すように、経済的に不安定な状況にある人ほど、結婚への意欲が低い傾向があります。仕事や収入への不安から「結婚どころではない」と考える若者が増えているのです。この傾向は、もはや男性だけでなく女性にも広がっています。
女性の未婚化:二つの大きな要因
女性の未婚化が進んでいる背景には、大きく分けて二つの要因が考えられます。一つは奨学金返済などによる経済的な苦しさ、もう一つは共働きを前提とした働き方の変化です。
奨学金という重荷:若者を苦しめる現実
近年の日本では、大学生の約半数が奨学金を借りており、平均受給額は310万円にものぼります。高額な奨学金返済は、若者の経済的な負担を増大させ、結婚や子育てを考える余裕を奪っています。「結婚は嗜好品、子どもは贅沢品」という言葉が象徴するように、経済的な理由から将来設計に不安を抱く若者が少なくありません。
奨学金返済の負担
奨学金増加の背景にあるもの
奨学金受給者が増加している背景には、親世代の経済状況の悪化や大学授業料の高騰などが挙げられます。生活に余裕のない家庭が増える中、子どもたちは経済的な自立に苦労し、結婚や子育てに踏み切れない状況に陥っているのです。
共働き社会のジレンマ
共働きが当たり前となった現代社会においても、女性は依然として家事や育児の負担を大きく抱えています。仕事と家庭の両立に苦悩する女性が増え、結婚生活への不安から未婚を選択するケースも少なくありません。結婚生活を送る上での経済的な不安に加え、家事・育児の負担も女性の結婚意欲を低下させる要因となっています。
まとめ:経済的不安が未婚化を加速
経済的な不安は、若者の結婚観に大きな影響を与え、未婚化・晩婚化を加速させています。奨学金問題や共働き社会の課題など、若者が結婚に希望を持てる社会の実現に向けて、様々な取り組みが必要とされています。