能登半島地震から9ヶ月。被災地では、人々だけでなく、ペットたちも困難な状況に直面しました。この記事では、珠洲市でスナックを経営する高枝岳人さんと愛犬ケンシロウの感動の再会ストーリーを通して、復興への希望をお届けします。
地震と突然の別れ
2024年元日、能登半島を襲った大地震。高枝さんは店舗兼自宅が津波の被害を受け、母親と愛犬ケンシロウと共に近くの福祉施設へ避難しました。約2週間後、内灘町のみなし仮設住宅に移ることになりましたが、ペットと同居することができず、苦渋の決断を迫られました。被災地支援に携わっていたNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」にケンシロウを預けることになったのです。
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ケンシロウとの再会、そして復興への一歩
ケンシロウはピースウィンズ・ジャパンの協力者である浜松市の北林由佳さんのもとで大切に育てられていました。北林さんの愛犬メリーとも仲良くなり、穏やかな日々を過ごしていたそうです。高枝さんは、ケンシロウのことを片時も忘れることはありませんでした。「俺のこと忘れてないだろうな」と不安な気持ちを抱えながらも、再会の日を待ち望んでいました。そしてついに、10月15日、9ヶ月ぶりの再会が実現しました。5歳になったケンシロウは、高枝さんを見つけるなり尻尾を振りながら駆け寄り、再会の喜びを全身で表現しました。高枝さんも「ちょっと痩せたかな」と、安堵と喜びの表情を浮かべました。
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スナック再開への希望、そしてケンシロウの存在
高枝さんは年内のスナック再開に向けて準備を進めています。ケンシロウは常連客にも人気者。「ケンが帰ってきてから毎日にぎやかで笑顔が増えた。店にも活気を生んでくれよ」と、高枝さんはケンシロウに語りかけました。ケンシロウの存在は、高枝さんにとって復興への大きな力となっているようです。
ペットと避難できる場所の少なさ:課題と対策
東日本大震災をはじめ、過去の災害においても、ペット同伴での避難は大きな課題でした。避難所への同伴が難しく、車中泊を余儀なくされたり、飼い主とはぐれてしまうペットも少なくありませんでした。珠洲市においても、ペット同伴で避難できる施設はわずか1ヶ所とのこと。専門家の意見によると、災害時のペット避難対策は、飼い主自身の防災意識を高めること、そして行政による受け入れ体制の整備が重要とのことです。例えば、「ペット防災手帳」の作成や配布、避難所におけるペット受け入れスペースの確保などが有効な対策として挙げられます。
まとめ:人とペットの絆、そして未来への希望
高枝さんとケンシロウの再会は、被災地における人とペットの絆の強さを改めて示すものでした。ケンシロウの存在は、高枝さんにとって復興への希望の光となっているに違いありません。今後、より多くの被災者が愛するペットと共に安心して避難できるよう、社会全体で支援していくことが重要です。