10月の衆院選で議席を減らし、馬場伸幸代表が辞任に追い込まれた日本維新の会。12月1日に大阪市内で開いた臨時党大会で代表選の投開票を行い、共同代表である吉村洋文・大阪府知事を新代表に選出した。もっとも、圧倒的な知名度の吉村氏が出馬を表明した時点で、「吉村氏で決まり」という声があがり、代表選は終始盛り上がりを欠いた。維新の議員や党員が投票権を持つが、投票率はわずか42%だった。
臨時党大会の冒頭、あいさつに立った馬場氏は、いきなり愚痴をこぼした。
「とにかくマスコミは、全然この代表選挙、盛り上がっていないとか、埋没してしまっているとか言っていた」
今回の代表選には、吉村氏のほかにも金村龍那衆院議員、空本誠喜衆院議員、松沢成文参院議員が立候補した。4人が代表選に臨むのは過去最多だった。
とはいえ、空本氏は出馬会見で、
「吉村知事が出れば代表選は決まったも同然。無投票は絶対に回避すべき」
と、無投票を避けるための出馬であって、勝ち目がないと認めるほど。
維新内では、立候補に必要な推薦人が集まらない国会議員の候補に推薦人を融通し、なんとか選挙戦の形を作った。
代表選初日は、斎藤元彦知事が失職して再選を目指したことで注目された兵庫県知事選の投開票日と同じ11月17日。吉村氏をはじめ4候補がそろって大阪市内の繫華街に立ったが、聴衆はまばら。
通り過ぎる人たちも、
「(衆院選は終わったのに)なんで今また選挙やってんの?」
と不思議そうだった。
維新の複数の国会議員からは、吉村氏が出馬表明した時点で、
「選挙はやらなくていい。吉村氏が勝つのはわかっている」
という趣旨の話を聞いた。
当の吉村氏は、代表選期間中の11月26日にフランス・パリで開催された博覧会国際事務局の総会に出席し、来年4月開幕の大阪・関西万博のPRのためにスピーチ。
代表選の演説会は大阪以外でも東京、横浜、広島などで行われたが、吉村氏はそんなときでも、
「万博へご来場を」
と大阪万博のPRをする余裕を見せていた。