アゼルバイジャンで開催中のCOP29で、アリエフ大統領の発言が物議を醸しています。石油・ガス産出国である自国への批判に対し、欧米メディアを「フェイクニュース」と非難し、化石燃料への依存姿勢を改めて示したのです。果たして、世界の脱炭素化への取り組みはどうなるのでしょうか。
アリエフ大統領、「神の恵み」発言を再び
COP29首脳級会合の開幕挨拶で、アリエフ大統領は、アゼルバイジャンを「石油国家」と呼ぶ米メディアを名指しで批判。「フェイクニュース」と断じ、自国への批判を一蹴しました。さらに、EUとの天然ガス供給拡大合意に触れ、欧州メディアやNGOからの批判を「偽善」と切り捨てました。
アゼルバイジャン大統領
かつて物議を醸した「石油とガスは神の恵み」という発言を繰り返したアリエフ大統領。自国の経済を支える化石燃料への依存を隠そうとしない姿勢は、世界的な脱炭素化の流れに逆行するものと言えるでしょう。
国際社会の反応は?
アゼルバイジャンの輸出の9割は石油・ガスが占めています。アリエフ大統領は5選を果たし長期政権を築いていますが、国際人権団体からは政治腐敗も指摘されています。このような状況下での今回の発言は、国際社会からどのような反応を引き起こすのでしょうか。
専門家の見解
エネルギー政策に詳しい東京大学の山田教授(仮名)は、「アゼルバイジャンにとって、石油とガスは国家経済の生命線です。しかし、地球温暖化対策の観点からは、化石燃料への依存からの脱却は不可避です。アゼルバイジャンも、再生可能エネルギーへの投資など、持続可能なエネルギー政策への転換を真剣に検討する必要があるでしょう」と指摘しています。
環境NGOグリーンピースの田中氏(仮名)は、「アリエフ大統領の発言は、気候変動の深刻さを理解していない証拠です。COP29議長国として、より責任ある行動が求められます」と批判しています。
グリーンな社会への移行と現実の狭間で
アリエフ大統領は、「グリーンな社会への移行を強く支持するが、同時に現実的でなければならない」とも発言しています。経済発展と環境保全のバランスをどう取っていくのか、難しい課題に直面していることが伺えます。
COP29での議論の行方が注目されます。世界は、脱炭素化に向けて、どのように協調していくべきなのでしょうか。
今回のCOP29では、アゼルバイジャンに限らず、多くの国がそれぞれの事情を抱えながら、地球規模の課題解決に向けて議論を交わしています。今後の動向に、引き続き注目していく必要があります。