日本の大学が、権威あるQSアジア大学ランキングで苦戦を強いられている。2024年のランキングでは、日本の大学が軒並み順位を落とし、トップ20にランクインする大学が一つもないという衝撃的な結果となった。これは、2009年の評価開始以来初めての事態である。
東京大学、トップ20圏外へ転落
日本の最高学府である東京大学でさえ、昨年の14位から21位へと7ランクも順位を下げ、トップ20圏外へと転落した。これもまた、評価開始以来初めての出来事である。京都大学(23位)、東北大学(25位)も同様に順位を落とし、それぞれ6ランク、5ランクダウンとなった。
alt香港大学の正門。QSアジア大学ランキングで2位を維持。対照的に日本の大学は苦戦している。
研究力の低下が顕著
日本の大学の低迷は、特に「論文当たりの被引用数」といった研究力の指標に顕著に表れている。上位10大学全てがこの指標で大幅に順位を下げ、例えば東京大学は前年比で147ランクも低い306位という結果となった。ソウルのある国際大学院教授(仮名:パク・ミンチョル氏)は、「かつて好景気の時代には、政府から大学への研究費や大学院生への支援が充実していたが、近年の財政悪化により、大学への支援は縮小傾向にある。結果として優秀な人材は企業の研究所へと流出し、大学の研究力は衰退の一途を辿っている」と指摘する。
香港・マレーシアの大学の躍進
一方、香港の大学は躍進を続けている。トップ20にランクインした香港の大学は、昨年の4校から今年は5校に増加。香港大学は2位を維持し、香港中文大学は6位(昨年比4ランクアップ)、香港城市大学は10位(昨年比7ランクアップ)と、いずれも順位を上げた。香港科技大学と香港理工大学もそれぞれ11位、17位と健闘している。また、マレーシアもトップ20にランクインする大学が2校に増加するなど、アジアの大学ランキングは大きな変動を見せている。
altQSアジア大学ランキング2024の結果。香港やマレーシアの躍進が目立つ一方で、日本の大学は苦戦を強いられている。
日本の大学の未来
今回のランキング結果は、日本の大学の現状を改めて浮き彫りにするものとなった。研究力の低下、優秀な人材の流出など、課題は山積している。日本の大学が国際競争力を維持していくためには、抜本的な改革が必要不可欠と言えるだろう。