アメリカ次期大統領ドナルド・トランプ氏の政権移行チームが、電気自動車(EV)購入者向けの最大7500ドルの税控除を廃止する計画を進めていることが、関係者への取材で明らかになりました。この動きは、アメリカのEV市場に大きな影響を与える可能性があり、自動車業界全体に激震が走っています。
EV税控除廃止の背景と波紋
関係筋によると、トランプ氏の政権移行チームは、この税控除廃止を税制改革の一環として検討しているとのこと。バイデン政権下で成立した「インフレ抑制法」の柱の一つであったEV税控除は、EV市場の成長を後押しする重要な役割を果たしてきました。しかし、トランプ氏は、この控除を廃止することで生じる財源を、自身の1期目の減税延長に充てることを検討している模様です。
alt2017年の税制改革イベントに登壇したコンチネンタル・リソーシズ創業者のハロルド・ハム氏。EV税控除廃止を巡り協議を行っているとされている。(写真:ロイター/Jonathan Ernst)
この突然の政策転換は、EV市場に大きな混乱をもたらす可能性があります。既に減速傾向にあるEV市場にとって、税控除の廃止は更なる打撃となることが懸念されます。自動車業界アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「EV税控除廃止は、消費者のEV購入意欲を著しく低下させる可能性がある。特に、価格に敏感な層への影響は大きく、EV普及の足かせとなるだろう」と指摘しています。
テスラの反応と競合他社の動向
興味深いのは、EV大手テスラの反応です。テスラの代表者は、政権移行チームに対し税控除廃止を支持する意向を伝えたとされています。テスラCEOのイーロン・マスク氏は以前、EV税控除廃止による自社への影響は限定的である一方、ゼネラル・モーターズ(GM)などの競合他社には壊滅的な打撃を与えると発言していました。
他方で、GM、フォード、現代自動車など、EVシフトを進める競合他社にとっては、税控除廃止は大きな痛手となる可能性があります。これらの企業は、生産コストの抑制に苦心しており、税控除がなくなればEV事業の黒字化はさらに困難になると予想されます。
各社の株価への影響
14日の取引では、テスラ株が6%下落したものの、競合他社であるリビアンは14%、ルーシッドも5%下落するなど、市場は敏感に反応しています。今後のEV市場の動向に注目が集まります。
今後の展望
トランプ氏の政権移行チームは、議会共和党が「財政調整措置(リコンシリエーション)」を用いて、共和党議員の票のみで税控除廃止を実現することを期待しています。新議会が開始される1月以降、早期に税制改革法案の審議が開始される見通しです。
EV市場の将来を左右するこの政策転換。今後の動向から目が離せません。jp24h.comでは、引き続きこの問題を追跡し、最新情報をお届けしていきます。