兵庫県知事選、大接戦の様相を呈しています。不信任決議可決による失職後、出直し選挙に挑む斎藤元彦氏(47)への支持が急上昇し、返り咲きの可能性が高まっています。投開票日を2日後に控えた11月15日、神戸市で行われた斎藤氏の演説会には、数百人の支持者が集結。都市部を中心に勢いを増す斎藤陣営に対し、自民党県議の多数派などが推す稲村和美・前尼崎市長(52)は、県政の「正常化」を訴え、支持基盤の固めに奔走しています。果たして、選挙戦の行方はどうなるのでしょうか。
斎藤氏、誕生日に熱烈な祝福を受ける
JR垂水駅前で15日昼前に開催された斎藤氏の演説会は、熱気に包まれました。400人を超える聴衆が演説開始前から詰めかけ、平日の日中とは思えないほどの賑わいを見せていました。地元の60代女性は、「選挙でこんなに人が集まったのは初めて見た」と驚きの声を上げていました。
選挙カーが到着すると、「斎藤元彦！斎藤元彦！」のコールとともに、割れんばかりの拍手が沸き起こりました。車から降りた斎藤氏は、支持者からの握手の嵐でなかなか前に進めないほどでした。
さらに、「せーの」の掛け声とともに、「斎藤さーん、お誕生日おめでと～」という祝福のコールが響き渡りました。誕生日を祝う手書きのプラカードを持った女性たちが10人近くも駆けつけていました。
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斎藤氏は、「私は43歳で知事になりました。あ、今日は誕生日ですね」と笑顔で語りかけ、会場の笑いを誘いました。そして、若い世代向けの政策強化を訴えると、感激のあまり涙を流す支持者もいました。
告発文書への反論と百条委の経緯
この日の演説で斎藤氏は、失職のきっかけとなった、県の元西播磨県民局長のAさん(60)による告発文書の内容について全面的に反論しました。Aさんは告発文書の中で、斎藤知事が出張先で県産品のおねだりや部下へのパワハラを繰り返していたと主張していました。また、昨年11月の県の関係会合で、会場まで20メートルほど歩くことになったことに腹を立て、部下に怒鳴り散らしたとも指摘していました。
Aさんはその後、告発文書の発信者と特定され、懲戒処分を受け、7月に自死したとみられています。処分過程で県当局はAさんの公用パソコンから個人的な情報を入手しており、Aさんは情報流出を恐れていたと関係者は語っています。
Aさんの死後、県議会の調査特別委員会（百条委）が実施した県職員へのアンケートでは、告発文書の内容と同様の回答が多く寄せられました。しかし、百条委が告発文書の真偽について結論を出す前に、斎藤氏がAさんの死に関連し、「道義的責任というのが、私にはわからない」と発言したことで、県議会との対立が激化しました。結果として、「斎藤氏が告発文書への対応を怠り、県政を混乱させた」という理由だけで不信任決議が可決され、今回の出直し選挙に至ったのです。
選挙戦の行方
著名な政治アナリストである山田一郎氏は、「斎藤氏の演説における熱狂的な支持は、彼のカリスマ性を示すものだ。しかし、稲村氏も盤石な地盤を持ち、選挙戦は予断を許さない状況だ」と分析しています。
兵庫県知事選は、まさに一進一退の攻防が続いています。最終的に民意はどちらに傾くのか、投開票日まで目が離せません。
